■五輪への採用について、ダンサー界では「戸惑い」も

 ブレイキンを構成する要素は主に4つだ。立った状態でステップと上半身を使う「トップロック」、かがんだ姿勢で素早く足を動かす「フットワーク」、背中や肩などを使ってダイナミックな動きを表現する「パワームーブ」、動きを一瞬停止させる「フリーズ」。

 音楽とダンサーの織りなす世界に目が釘付けになるブレイキンだが、「技術性」や「独創性」などと言われても素人はどういったポイントにどう着目すればいいのか悩ましい。ダンスに詳しくない人はどういったところに目を向けると楽しめるのか――。

 日本のアニメーションダンサーの先駆けで、振付師・ダンス講師としても活躍するはむつんサーブ・りきっちょさんに、弊サイトは話を聞いた。

 ダンスに明るくなくても、一見してその凄さやユニークさが分かるのがアニメーションダンス。りきっちょさんは2000年代に少年少女が熱狂したダンス番組『少年チャンプル』(日本テレビ系)に出演するや絶大な人気を誇り、日本最大のストリートダンス大会『JAPAN DANCE DELIGHT』では特別賞(2004年度)、準優勝(2005年度)を受賞。さまざまなダンス大会で受賞経験があるほか、世界的な歌手であるマドンナ(65)のPVに日本人のダンサーとして初出演した実力者だ。

 りきっちょさんは『ブレイキン』については自身は未経験と前置きしつつ、五輪に新競技として採用されたことについては「戸惑うダンサーはいると思う」と話す。

「大前提として、ダンスが五輪採用というのは歴史的で本当にすごいこと。採用のために関係者が奮闘したという話も聞いていますし、ダンサーにとっても社会的な地位が上がって、大きな舞台で自分のダンスをたくさんの人に見てもらえる機会ができることは素晴らしいことです。

 一方で、スポーツとして五輪の競技になると、これまでの“自分のダンスを追求する”というヒップホップのダンスカルチャーから、“(五輪の)ジャッジ”を意識することがすべて、という制約のある価値観が生まれかねない。そういう意味で、手放しで喜んでいいのか……と複雑な心境を抱える人もいるんじゃないかなと思います」(りきっちょさん)