■ダンスバトルで“恐れること”は……

 ただし、りきっちょさんによれば「ブレイキンは、ダンス界のなかでもその人のスタイルやオリジナルムーブをちゃんと認めるカルチャーがあると思う」とし、「五輪という大舞台でそれぞれの選手がどんな自分のダンスを見せてくれるのか、また何が評価されるのかは楽しみ」と話す。

「見ている側にしてみたら、わかりやすくアクロバットとしての派手さやユニークさがあるかどうか、といったことがカッコよさや目を奪う動きにつながりますし、そういう見方でいいと思います。

 僕もこれまでカッコいいな、すごいなと思ったダンサーはたくさんいますが、それぞれカッコよさの種類が違う。たとえばめちゃくちゃ体柔らけえなとか、めちゃくちゃパワーがあるなとか、あるいは技はそんなに目立たないんだけど音の取り方がめちゃくちゃカッコいいというパターンもある。

 五輪ではバトルにより勝敗が決まりますが、僕がいちばん恐れるのは、視聴者が、自分がカッコいいと思ったダンサーが”負け”た時に、“なんだ、つまんない”と思ってしまうこと。それはものすごくもったいないですよね」(りきっちょさん)

 ダンスバトルでは、必ずしも勝者ではないダンサーのダンスが印象的だったと話題になることもよくある話。表現力がダンサーの個性なら、それを受け取る感性も人それぞれなのだから、自分が心に残ったポイントを大切にすればいいということだ。結果だけにフォーカスせず、国境も言語の壁も超えてダンサーが全力で表現するパフォーマンスを楽しみにしたい。

※写真はりきっちょさん提供

はむつんサーブ りきっちょ
2000年代初頭、日本で初めてアニメーションダンス専門ダンサーという枠を作り、大会やTVメディアで活躍。 また日本人初のマドンナダンサー。MV 4minutesやWorld tourにダンサー兼振り付け師として50公演15カ国に参加。
独特のダンスはロボット&アニメーションスタイルの開発者であるLAのBOPPIN ANDREに「30年ぶりに現れた新しいスタイルのオリジネイター」と認められる。世界一の規模のダンス大会World of Dance日本代表として2年連続世界大会進出、最高ランク世界7位。2022年から始めたSNS活動では初年度からTikTokアワードにノミネートされベスト5入りを果たし、現在SNS総合フォロワーは103万人。更なる飛躍を目指す。
はむつんサーブ公式TikTok:https://www.tiktok.com/@hamutsun_serve_crew