■小野寺選手が言うアスリートの誹謗中傷問題を解決するための出発点

 SNSでの誹謗中傷被害を明かす小野寺選手だが、「連盟としても選手への誹謗中傷に対処する方法はあるはず」と指摘する。

「日本スポーツ振興センターにある強化指定選手などを対象とした、トップアスリートの相談窓口にこの件について相談をしました。すると、“本件は加害者がトップアスリートであり、被害者はそうではないため、ここでは解決できない”との旨を告げられたのです」(小野寺選手)

 弊サイトが日本スポーツ振興センターに事実関係を尋ねたところ「メディアの取材には対応していない」とのことだった。

 トップアスリートはあくまでも誹謗中傷される対象であり、自ら他人を攻撃することはないということなのか――。小野寺選手が日本パラリンピック委員会に相談をしても、「こちらからも日本身体障害者アーチェリー連盟へと通達します」と繰り返すばかりだったという。重定選手のパリパラ五輪への出場を小野寺選手はどの様に捉えているのか。

「スポーツマンシップに反する人には出場する資格はないと思います。少なくとも競技団体から何かしらの処分があってしかるべきです」(前同)

 一方で、小野寺選手は、自身と重定選手との間で起きた問題はあくまで2人だけの問題とも強調する。

「ネットニュースを見ていると、憶測でコメントを書き込んでいる人もたくさんいますよね。それだって重定選手への誹謗中傷に当たります。

 私は、まずは誹謗中傷を受けたアスリートが安心して相談できる窓口を設けることが、SNS上でのアスリートの誹謗中傷問題を解決するためへのスタートだと思います」(同)

 一方の重定選手は、判決を不服として8月20日に控訴。そして、23日、重定選手がパリ大会の出場辞退を日本パラリンピック委員会に申し入れたことも報じられた。

 弊サイトが今後の裁判方針やパラパリ五輪への出場を代理人を通じて重定選手に聞いたところ、

「お話しできることはありません」

 とのことだった。

 様々な困難に直面しながらも自身の技術を磨くアスリートたちへの誹謗中傷は、どのような事情があろうと許されることではないだろう。