■チャリティーマラソン開催時期に有森さんは疑問

 2021年に開催された東京五輪では完走後に服部勇馬選手が車椅子に乗せられて医務室へと直行、熱中症と診断された。また、先の7月20日と21日に放送された『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』(フジテレビ系)の中で行なわれたマラソン企画『100kmサバイバルマラソン』では、タレントの井上咲楽(24)らが走行中にドクターストップがかかり途中棄権している。

 8月31日と9月1日に放送される日本テレビ恒例の『24時間テレビ』(日本テレビ系)でチャリティーマラソンに挑む芸人・やす子(25)にも、SNSでは《こんな酷暑の中、今年も走らせるのか》《無理は禁物です》といった憂慮する意見が多数寄せられている。

 有森さんは素人ランナーが酷暑の中を走る『24時間テレビ』のチャリティーマラソン企画をどのように捉えているのか。

「チャリティーマラソンを否定するつもりはありません。一晩中走るウルトラマラソンや、トライアスロンなど過酷な競技は他にもあります。ただし、開催のシーズンを考えた方が良いとは思いますよね。

 8月末となると暑さが尋常ではないので。過酷な環境をタレントさんが長距離走るというのが視聴者への見せ方として本当に正しいのか。健康面を考えると夏場の長距離走はとても薦められません」(前同)

※画像はやす子の公式X『@yasuko_sma」より

 秋・冬に本番を迎えるマラソン大会。一般人が夏場にできるトレーニングにはどのようなものがあるのだろうか。

「日陰がある山間部でのトレイルランや山登りは効果的だと思います。また、心肺機能を高めるために、水泳をしたり自転車に乗るのも良いですね」(同)

 一方で、夏場の運動時の過度な熱中症対策にも有森さんは警鐘を鳴らす。

「アームスリーブをつけたり、フェイスカバーを着用してまで日中に走るのは薦めません。むしろ、体温の逃げ場がなくなるので危険です。日焼けが気になるなら日焼け止めを塗った上で、夕方以降に運動するのが良いでしょう」(同)

 運動後の疲れた体を癒すのに効果がある、と有森さんが語るのはアイシングだ。

「水シャワーを浴びると良いでしょう。首筋や下半身を中心に冷やすと体が冷えて快適です。ただし、運動直後に氷水を飲むのは止めた方が良いですね。内臓が冷えることで、体が疲れやすくなり逆効果です。運動後に暑いと感じるなら、体の外側から冷やすのが良いでしょう」(同)

 トップアスリートでも危険と語る夏場の運動。超売れっ子で他の仕事も多忙なやす子は大丈夫なのだろうか……。そして、夏に走る人にはくれぐれも体調に気をつけていただきたい。

有森裕子
1966年12月17日生。日本体育大学卒業。1992年バルセロナ五輪で銀メダル、96年アトランタ五輪で銅メダルに輝く。女子陸上競技で2大会連続のメダルを獲得した日本人は有森が初である。