■俳優には成功例も……海外移住芸人に立ちはだかる壁

 日本の芸能人たちの海外移住の現実について芸能評論家の三杉武氏はこう語る。

「まず言葉の壁が大きいですよね。加えて、文化の壁や宗教観というのも違いますからね。アメリカのスタンダップコメディなどは、文化や宗教、人種の問題などを知っている前提での笑いが多いですが、文化や問題の本質をしっかりと理解していないでネタをやると瞬く間に炎上してしまう可能性もあります。

 黒人のコメディアンが自身の立場から言うネタはOKでも、事情をわかっていない日本の芸人が現地の人に笑ってもらえたり、評価してもらえるかというとなかなか難しいものがあるのではないでしょうか」(三杉氏、以下同)

 アメリカでダンスやモノマネだけではなく、トークを披露することもある渡辺直美は、2022年12月放送の『ポップUP!』(フジテレビ系)にVTR出演した際、「アメリカで仕事するときとか、みんな露骨なんですよ。面白いときは笑うけど面白くないときは笑わない」と明かしていた。

 さらに「面白くなかったら“ブー”って言われる世界ですから、でもウケたときはめっちゃウケます」「顔でスベッたときが一番しんどいですよね。アメリカって変顔で笑わせるってないらしいんで」とアメリカのお笑い事情について語っていた。

とにかく明るい安村さん(42)のようにボディランゲージで笑わせる笑いなら海外でもある程度ウケていますよね」

 ゆりやんも2019年6月、アメリカのオーディション番組『America‘s Got Talent(アメリカズ・ゴット・タレント)』に出演している。

※画像はゆりやんレトリィバァの公式インスタグラム『@yuriyan.retriever』より

「ゆりやんさんは『AGT』で手応えを感じ、何かしらの勝算がありつつの渡米なのかもしれませんね……。

 ハリウッドでも活躍した千葉真一さん(享年82)も言葉の壁や人種の壁には頭を抱えたといいますが、弟子的存在で『JAC(ジャパンアクションクラブ)』でも学んだ真田広之さん(63)も今や世界的な俳優になりました。渡辺謙さん(64)もそうですが、俳優の成功例は少なくありませんが、日本の芸人が海外で本格的な芸能活動をするというのはやはりハードルが高いというのが現実ですよね」

 海外移住を決意したゆりやん。先輩芸人たちの苦戦は感じられるが――「ハリウッドスターになる」というアメリカンドリームをつかみ取ることはできるのだろうか。