米大手IT企業Amazonが世界で働く全社員に対し、現状週3日の出社体制を2025年1月2日から原則週5日に戻すことを表明した。世界を牽引するIT企業が「週5で出社」という“アナログ”にも思える勤務体制に戻すことについて、さまざまに議論を呼んでいるところだ。

「週5日出社への回帰が予告されたのは、CEO(最高経営責任者)のアンディ・ジャシー氏が従業員に向けたメッセージでのことです。ジャシー氏は企業文化と組織体制のさらなる強化について触れるなか、勤務形態についてはコロナ前に戻すと明記しました。

 ジャシー氏はオフィスで仕事をするメリットがあるとして、23年5月から週3日の出社を断行。移行期間を経て、ついに原則毎日出社を決定した形です。超巨大IT企業として、毎日出社に切り替えるのは世界初です」(全国紙経済部記者)

 コロナ禍で、世界的に浸透したリモートワーク。通勤時間が不要で自由な働き方ができるスタイルは魅力的にも捉えられたが、一方で管理職にとっては生産性の低下、マネジメントのしにくさなどから“完全リモートワーク”が良いとは言い切れないのも事実だった。

「今回のメッセージでジャシー氏は、アマゾンではコロナ前からケース・バイ・ケースでリモートワークを取り入れており、それは今後も変わらないとしつつも、対面の方がスタッフ同士の連携やアイデア出しなどがより容易で効果的にできると説明。互いにオフィスで顔を合わせることで関係性も深まるなど、出社のメリットを力説しました」(前同)

 実際、世界的IT企業には出社回帰の流れがある。21年にはApple、23年にはGoogle、Facebookを運営する米Meta社が従業員へ週3日の出社を規定。リモートワーク用ツールの開発で急成長したZoomも23年に週2回の出社を発表している。

 ただしいずれもリモートワークと出社の“ハイブリッド”方式だ。なおX(旧ツイッター)のオーナーでCTO(最高技術責任者)のイーロン・マスク氏はリモートワークに対して完全に否定的で、自身がCEOを務める米テスラ社の社員に対して「週40時間出社しないとクビ」と通告し、“実質毎日出社”と物議を醸したことがある。