■夏・目黒蓮は父にならない道を選ぶ?

 では、どんな最終回になるのか? ヒントは予告にありそうで、弥生(有村)が「夏(目黒)くんのこと好きだった。がんばって忘れようとしたら、もっと寂しくなった」と語っている。いまのところ、海(泉谷)との関係は“友だち”として良好な弥生。夏とは、結婚はなくとも、恋人としてよりを戻す可能性は高い。

 一方、夏は「行きたいとこ行って、会いたい人に会えばいいよ」と言っている。これは、南雲家に行ってしまった海への言葉だと思われ、この2つのセリフから、海は南雲家に戻り、夏は弥生とよりを戻し、“親子”という枠を取っ払った3人の新しい関係が始まる。そして、数年後……という流れではないだろうか。

 結局、夏と海は“家族”になれないのだが、そもそも本作の公式サイトには「父になる」「母になる」と書かれているが、「親子になる」「家族になる」とは書かれていない。そもそも親と子のつながりを通して家族を描くのであって、3人が家族になる物語ではないのだ。

 また、脚本の生方美久氏は『GINGER』(幻冬舎)のインタビューで「がん検診に行ってほしい」「避妊具を使っても避妊率は100%ではない」とドラマを通じて伝えたいと語っている。つまり本作は、望まぬ妊娠と突然の死が生む悲劇を通して、家族の姿を描くことが狙いだったのかもしれない。

 11話のラストで夏は、海からママをいないことにしたことや、ママが亡くなる前に一緒にいなかったと責める強烈な言葉に言い返すことができず、2人の関係は悪化したまま。どん底の展開が続く中、まだ夏が読んでいない水季の手紙には、どんなことが書いてあるのか――。最後はみんなが幸せになるラストに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。