■ゴディバが提案する“アクセシブルなラグジュアリー”

 認知はされているがなかなか手には取ってもらえない高級チョコレート。前出のチョコレートジャーナリストの市川さんによれば、そうした“体験機会の壁”ともいえる課題を解決するべく、ゴディバはアイスクリームやチョコレートドリンクなど、チョコを使った自社スイーツを積極的に展開してきた。コンビニやファストフードへの進出もその流れで、最近では駅ナカにも出店。消費者が手に取りやすい場所へゴディバが“顔”を出すことで、客層を広げる狙いがあるという。

※画像は「東京駅 グランスタ」の公式インスタグラム『@gransta_jp』より

「ゴディバはここ数年“アクセシブルなラグジュアリー”を提案しています。ラグジュアリーというと別世界のように思うかもしれませんが、普段の生活からアクセスできるラグジュアリーさがありますよ、ということですね。

 また、消費者のライフスタイルも“日常と特別感を自由に行き来したい”という傾向が強くなってきました。回転寿司も行くけど高級寿司店も行く、ファストファッションも買うけどハイブランドも買うといったように、気分やニーズによって多様な選択肢を柔軟に選ぶ。

 さらに忙しい現代人にとっては、いつもの場所で“特別感”を味わえるならもっと良いですよね。高級チョコとファストフードのコラボレーションは、時代を反映しているなと思います」(前同)

 ファストフード側にとっても、自社にないプレミアム感をもたらしてくれる高級チョコレートとのコラボはメリットしかない。今後もファストフードと高級チョコレートのコラボレーションは、バリエーションを増やしていきそうだ。

市川歩美/チョコレートジャーナリスト
大学卒業後、放送局に入社し、長年ディレクターとして番組企画・制作に携わる。現在はチョコレートを主なテーマに掲げるジャーナリストとして、日本国内、カカオ生産地をはじめ各国を取材。チョコレートの最新情報、カカオやチョコレートの文化、歴史、社会的な側面を踏まえた情報を、メデイアで発信し、食をテーマにした取材・執筆も行う。チョコレートに関わるコンサルティング、コンテンツ監修、商品企画、プロデュースにも携わる。