■『ちむどんどん』を思い出す声も

 伊藤主演の『虎に翼』は、日本初の女性弁護士の1人であり、初の女性判事および家庭裁判所長でもある三淵嘉子をモデルにした物語。

 その前作の趣里(34)主演の『ブギウギ』(23年後期)は、「ブギの女王」と言われた笠置シヅ子をモデルにした物語。さらにその前の神木隆之介(31)主演の『らんまん』(23年前期)は、日本の植物学の父・牧野富太郎をモデルにした物語と、ここのろころ朝ドラは歴史上の人物を描く作品が続いていた。

 一方で、黒島結菜(27)主演で主に1970~80年代の沖縄と東京が描かれた『ちむどんどん』は、『おむすび』とも被る“食”がテーマのオリジナル現代劇だったが、脚本、時代考証、演出が“あまりにも雑”と評価され、ツッコミの声が殺到。毎朝Xで《#ちむどんどん反省会》がトレンド入りしたことで知られる。

 低評価で荒れまくった『ちむどんどん』の記憶は簡単に忘れられるものではないようで、

《あの悪夢再びか。1話2話を見て判断したい》
《「食べることが大好きな女子高生」のキャッチフレーズ聞くと #ちむどんどん のトラウマ思い出して悪寒が走るwそして憧れの男子は野球部員(※佐野勇斗/26)なのもテンプレw》
《#おむすび 絶対的安定の橋本環奈だけど、#ちむどんどん にならないといいけどなぁ。ギャル魂指導みりちゃむも大丈夫だろけど。近過去劇だと演者ではなく物語が》

 といった心配の声が、『おむすび』の放送前からXには多数寄せられていたのである。

「そんな不安の声もあったなかで、“浜崎あゆみネタ”が出たことで、しっかりと当時の空気感を演出でき、当時を懐かしむ世代に受けたということですね。

 物語の前半で、“あゆ世代”に刺さるようにギャル文化をしっかりと描けるかが作品全体の人気に影響してくるのではないでしょうか。そして、そのためにも実在の人物である浜崎さんは非常に重要と言えそうです」(前出のテレビ誌編集者)

 浜崎は、現在の『おむすび』の舞台である2004年の時点でレコード大賞3連覇を達成するなど、音楽界、そしてギャル界のカリスマとして君臨していた。『おむすび』で当時のギャル文化を描く際に、彼女の楽曲を流したり、登場するギャルが彼女を意識したコーデを披露すればリアルな時代感を演出できるし、40代以上の視聴者の共感も呼べるだろう。

「浜崎さんの本人役での出演に期待する声もありますね。朝ドラは物語の舞台である都道府県の出身者が出演することも多い。浜崎さんは福岡県福岡市の出身ですよね」(前同)

 現在も浜崎の人気、美貌は健在だ。9月2日から10月2日にかけてファンクラブツアー『TA LIMITED Thank U tour 2024』を行なっているほか、11月2日から控えているアジアツアーのビジュアルも告知されているが、ルーズソックスとギャルメイクでキメた、高校の制服ふうの衣装は、まるで現役かと思えるくらい似合っていると話題になった。

「ここにきての浜崎さんの“ギャル化”、『おむすび』と何か関連があるのか……とも思ってしまいますよね。そして、今後、彼女が『おむすび』前半戦の山場に登場することがあれば、間違いなく話題になる。“いつかあゆが出るかも”と期待しながら視聴を続ける視聴者もいることでしょう。そういう意味でも、浜崎さんは『おむすび』成功のカギを握る重要な存在と言えるのではないでしょうか」(同)

 “浜崎あゆみ”が歴史の一部になったことには隔世の感もあるが、平成を象徴する歌姫は、『ちむどんどん』の二の舞にならないか心配の声も飛ぶ『おむすび』に、説得力とパワーを与える存在になるのだろうか――。