■『シン・仮面ライダー』で池松×浜辺が見せた泣ける名演技

【以下、映画『シン・仮面ライダー』のネタバレになるかもしれない記述があります】

『シン・仮面ライダー』は、本郷(池松)とルリ子(浜辺)のロードムービーでもあった。バイクに二人乗りしたり、人気の少ない道を横並びで歩いたり、夜の脇道で、本郷が作ったキャンプ飯をルリ子が受け取ったり――2人がコート姿であることも旅人っぽさが出ていて、非常に情緒のある映像美だった。

 そして、2人の掛け合いも良かった。本郷は、口下手で感情表現に乏しく不器用な男。 セリフがことごとくぎこちなく、いかにも“会話に慣れていない”という感じの話し方を池松は絶妙に演じていた。

 対するルリ子は淡々とした口調だが、他人に遠慮なくズバズバものを言う勝ち気な性格であり、話が進むにつれて次第に素直に感情を表に出すようになっていくのだ。

 詳細は伏せるがルリ子が本郷を、本郷がルリ子を思って涙するとあるシーンは、どちらも口数が少ないのに、心で通じ合っていると一瞬で分かる――池松と浜辺は、男女ペアとして最高の芝居で観客を泣かせたのだ。

 劇中での「僕らの関係は恋愛ではない。信頼だ」(本郷)という台詞は、現実の2人にもピッタリと当てはまるのではないだろうか。

 そんな『シン・仮面ライダー』で株が急騰した2人の再共演を、多くのファン、もっと言えば、業界人も望んだのだろう。だからこそ、大河『豊臣兄弟!』での共演発表、その少し前に報じられた日テレドラマの中止報道は、大きな注目を集めたと思われる。

 ちなみに、『シン・仮面ライダー』では、池松と浜辺以外では“一文字隼人/仮面ライダー第2号”を演じた柄本佑(37)や、ルリ子の兄でラスボスでもある“緑川イチロー”を演じた森山未來(40)が強烈な存在感を発揮していたことから、

《池松壮亮と浜辺美波が夫婦…こうなったら柄本佑や森山未來も出そうぜ》
《シン・仮面ライダーコンビか。これは柄本佑と森山未來の出演が待たれる》

 といった声も多く寄せられている。また、柄本が放送中の大河ドラマ『光る君へ』で準主人公・藤原道長を演じていることに言及する声もある。

 “一文字が出るなら観てみようかな”と、現在の大河ドラマ『光る君へ』を見始めた特撮ファンは少なくない。2年後の『豊臣兄弟!』もそうなりそうな気配だ。

(文/特撮ライター・トシ)

特撮ライター・トシ 
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受ける。その後、歳を重ねても熱量は衰えず『クウガ』から始まる平成仮面ライダーシリーズと現在も歴史が続く令和ライダーはすべて履修し、『スーパー戦隊シリーズ』、平成以降の『ウルトラ』シリーズも制覇済み。『仮面ライダーゴースト』の主人公の決め台詞でもある「俺は俺を信じる!」を座右の銘に仕事に全力全開。