■竜星涼でトンデモおもしろが倍増か

 それよりも期待したいのは、『占拠』シリーズのようなチープかつトンデモな演出だ。櫻井の決まり文句「ウソだろ」から繰り出される、視聴者が「なぜそうなる?」とツッコミたくなる演出は、Xの番組ハッシュタグのタイムラインを大きく盛り上げた。

 今回は、それが竜星涼によって展開される。特撮ドラマ『獣電戦隊キョウリュウジャー』(テレビ朝日系)では、スタントなしでアクションをこなしただけあって、身体能力は抜群。昨年7月期の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)では、スタイリッシュでキレのいい動きで、物語を際立たせていた。

 櫻井演じる武蔵刑事は、残念ながらドタバタした動きだったが、竜星涼は違う。ビシッとアクションを決めたあとに、トンデモで「えっ?」な展開がくれば、視聴者のツッコミも盛り上がること確実。『占拠』シリーズ以上に楽しめる作品になるだろう。

 類似したパターンのドラマ3作目とあって、スタッフも“このドラマの売りがなにか”は、ちゃんと理解しているはずだ。『潜入兄妹』は極上のツッコミドラマとして、視聴者を楽しませてくれるに違いない。(ドラマライター/ヤマカワ)

■ドラマライター/ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。