■避けたい小芝風花『GO HOME』パターン
それは、単なるヒューマンドラマではなく、ヒューマンサスペンスであること。「ライオン」と名乗る男の子に“ある事件”が絡み、その真相を探すというのが物語の芯になりそうで、配役には週刊誌記者や山梨県警の刑事が入っている。ヒューマンとサスペンス、これをうまく両立できるかが問題だ。
これで失敗したのが、小芝風花(27)主演の夏ドラマの『GO HOME』(日本テレビ系)だった。ベースはヒューマンドラマで、ヒロインと母親との確執、自殺を止めてくれた男性の正体がサスペンス部分の芯になっていたが、それを効果的に活かせなかった。ヒューマン要素で盛り上がってきたと思ったら、いきなりサスペンス要素が出てきたりと、全体のバランスが悪かった。
初回の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)こそ8.4%と好調なスタートを切りながら、全話平均では5.9%と落ち込んでしまったのは、このアンバランスさによるところが大きいと思われる。
小森兄弟(柳楽・坂東)と男の子(佐藤)との共同生活で、ヒューマン部分では面白くなることは確実だが、男の子の背景にあるサスペンス部分とうまく絡み合わせ、視聴者を引っ張ることができるか。バランスの取り方が、成功の鍵になりそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。