9月12日に『モスバーガー』で知られるモスフードサービスが、東京都江東区のアトレ亀戸内に『カフェ 山と海と太陽』の2号店をオープンした。この『山と海と太陽』は、バリエーション豊富なカフェドリンクを始め、クラフトビールやワイン、そして『モスバーガー』とは異なるハンバーガーを提供するカフェ店舗。2020年に静岡県のアスティ静岡で1号店がオープンしており、この亀戸店は4年ぶりの新店舗にして関東初出店となる。
「モスは、高級なグルメバーガー路線の『モスプレミアム』を19年から神奈川と東京の2店舗で展開しているほか、24年8月には東武東上線の池袋駅の改札内に、規格外品などの野菜を使用したドリンクを販売するドリンクスタンド『Stand by Mos』もオープンさせています」(全国紙経済部記者)
他にも、今年は大手飲食チェーンによる新業態のニュースが続々と届いている。
「松屋フーズはパスタ業態の『麦のトリコ』を1月に、石焼専門店の『トゥックン²(トゥックントゥックン)』を8月にオープン。大戸屋ホールディングスはカフェ型レストラン『ASIAN CAFE 蓮屋珈琲店』を9月に開店しました。すかいらーくホールディングスも、子会社が運営する形で8月に高級路線のイタリアンレストラン『イタリアン リゾート ペルティカ』をオープンし、注目を集めています」(前同)
飲食チェーンではないが、24年5月に東京・銀座にオープンした『タイム珈琲店』は、大手カラオケチェーン『カラオケ館』を運営するB&Vの新業態で、ドリンク飲み放題の時間制カフェというサービス内容で話題になっている。
しかし、なぜこれほど“新業態”が増えているのか。小売・サービス業界に詳しい経営コンサルタントの岩崎剛幸氏が、弊サイトの取材にこう説明する。
「一般的に新業態を始める場合、大きく3つのタイミングがあります。まず一番に、自社の経営状況が良いとき。新しいことに取り組む余裕があるということです。2つ目は、世の中の景気が比較的良いとき。景気が良いと客がお金を出しやすく、とくに“新しいもの” にお金を使ってくれるので、新商品や新しいサービスを展開しやすい。3つ目は世の中に大きな変化が起こっているとき。たとえばインターネットやスマートフォンの普及であったりとか、DXであったりとか、変化が大きい時期というのは、“正解”が誰もわからないので、新しいことにチャレンジしやすい時期でもあるんです」(岩崎氏)
なかでも今回の場合、ひとつめの「経営状況が良いとき」がもっとも当てはまるようだ。
「松屋やモス、すかいらーくはいずれも増収・増益で絶好調。20年にフードサービス起業のコロワイドの傘下に入った大戸屋もコロナ禍の赤字から脱して好調ですね。ただ、各社とも人件費や原材料調達コストは上がっていますし、水道・光熱費も上がっているなかで、既存の業態だけで客の数が今後さらに増えるかどうかは、先が見えづらい。そこで新しい業態への投資が必要なわけで、各社とも今、その投資をしやすい環境にあるということだと思います」(前同)