■大戸屋の『蓮屋珈琲店』には「アジアンカフェ?」という疑問が…

『カラオケ館』を運営するB&Vがオープンさせたドリンク飲み放題の時間制カフェ『タイム珈琲店』も、モスのドリンクスタンド同様に「おもしろい試み」だと前出の岩崎氏は話す。

「基本的にはカラオケのシステムで、時間で場所を提供しているわけです。『カラオケ館』銀座総本店内にあり、セルフサービスなので、そこまでコストをかけずにできたんじゃないでしょうか。コロナ禍にワーキングスペースとしてのカラオケボックス需要が高まりましたが、あの流れにあるので違和感もない。ただこの業態については都心でないと需要が薄いというのはありそう」(岩崎氏)

 一方、厳しいとみられるのが大戸屋の『ASIAN CAFE 蓮屋珈琲店』だ。

「やはり『大戸屋』といえば和食のイメージが強いなかで、なぜアジアンカフェ? という違和感はありますよね。しかもメニューを見ると、フレンチトーストに力を入れていたり、ハンバーガーやナポリタンがあったりと、これってアジアン? という感じもします。特にベトナム料理などは好き嫌いが分かれやすい傾向がありますし、今後の展開が見えづらい気がしますね」(同)

大戸屋ホールディングスによる『ASIAN CAFE 蓮屋珈琲店』 ※撮影/編集部

 数々生まれている大手飲食チェーンの新業態。10年後に会社の“新たな顔”になっている業態はこの中から生まれるだろうか。

岩崎剛幸
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。著書に『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)
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