■120年以上親しまれる「オイデルミン」がルーツ

 デイリーアイテムからラグジュアリーなブランドアイテムまで幅広く展開する資生堂が、明治30年に初めて発売した化粧品が「オイデルミン」。

「“赤い水”の愛称で、120年以上親しまれるご長寿コスメです。ニーズに合わせて処方やデザインも改良されてきました」(前出の美容ライター)

 編集部では、バラの香りのする“ピンクの水”と、ガラスの小瓶が愛らしい『資生堂オイデルミン〈除去化粧水〉』(550円)を、映えるレトロコスメとしてピックアップ。

「夜メイクを落とした後に使うと、その後の保湿化粧水の浸透力が抜群」(30代女性)との声もあるが、果たしてその実力は……。

 普段は下地とフェイスパウダーのみでメイクをしている編集部記者。“薄メイクを落とすことも可能”とのことで、「オイデルミン」をコットンに染み込ませて拭き取ると、メイクはもちろん、皮脂のベタつきもスッキリ。さらに保湿感も感じられる。必要な水分・油分を残してくれるので、朝の洗顔にもぴったりだ。

コットンにたっぷりしみこませて拭き取る ※撮影/ピンズバ編集部
コットンにたっぷりしみこませて拭き取る ※撮影/編集部

■明治時代に誕生、ニキビに効果的な処方が可能に

 そして、レトロコスメを代表する逸品が、『明色美顔水 薬用化粧水』(990円)。

青いボトルは発売当初から変わらない「美顔水」の目印 ※撮影/ピンズバ編集部
青いボトルは発売当初から変わらない「美顔水」の目印 ※撮影/編集部

 明治18年から今日まで続く超ロングセラー商品は、顔はもちろん、背中や体のニキビケアに絶大な信頼が寄せられている。人気の秘密を、株式会社明色化粧品マーケティング部の杉村萌氏に聞いた。

「『美顔水』は、代々薬屋を営んでいた創業者・桃谷政次郎が、和歌山から東京大学まで処方の教えを乞いに行き、生まれました。当時は文明開花の時代。漢方などの東洋医学から西洋医学へと改革の時期でもありました」(杉村氏・以下同)

 ただ、当初「美顔水」に商品化の予定はなかったという。

「ニキビに悩む妻だけのために作ったのが『美顔水』なんです。まさに“愛から生まれた化粧水”。ニキビがきれいに治った妻に、近所の奥さま方が理由を聞いたのを機に口コミで広がり、化粧水として販売がスタートしました」

 来年で発売されて140年。この歴史こそ、ニキビに効果的な理由だと杉村氏は語る。

「ホモスルファミンという成分が含まれていますが、現在は医薬品扱いなので、他社では化粧品に使用することができません。『美顔水』は、発売当時からの処方に含まれているため、既得権を持っているんです」

 実際に試してみると、ニキビの初期段階や、赤ニキビへの鎮静効果は抜群。

「コットンにひたひたに取って拭き取り化粧水として使用するか、肌質によっては綿棒にとって気になる箇所のみにポイント使いがおすすめです。毎日洗顔後に使うとトラブルの少ない肌になりますよ」

 長年愛されるには理由がある。パッケージもかわいく効果も抜群なレトロコスメたちを、今後も守っていきたい。

※価格は編集部調べ

杉村萌(すぎむら・もえ)
株式会社明色化粧品マーケティング部所属。毛穴専門のスキンケア「ケアナボーテ」シリーズや、「美顔水」などのブランドを担当する。同じく杉村氏が担当する同社の薬用スキンケアシリーズ『リンクルホワイト』化粧水「薬用リンクルホワイト ローション」は、美容誌『LDK the Beauty』にて、「Bestbuy賞」受賞。