■変わった!『相棒』が配信で人気

 本作は“いいね”が1.7万、お気に入り登録が52.5万(すべて10月23日午後3時現在)。一方、初回の平均世帯視聴率が6.6%だった同局の火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』の“いいね”は2.5万、お気に入り登録65.1万。視聴率では圧勝なのだが、それに比べると配信の数字がずいぶん物足りないのだ。最近のドラマは、視聴率より配信を重視する傾向にあるため、これでは手放しでは喜べない。

 もう一つ気になるのが、テレビ朝日系ドラマのTVerでの好調ぶりだ。『相棒』は言わずとしれたドラマ界のキングで、シリーズ23も平均世帯視聴率は12%台で今期トップ。『ザ・トラベルナース』も2作目で固定ファンが多く、11%台で2位。しかし、これまでは年齢層が高いこともあって、リアタイの視聴率が高い割にTVerでは伸び悩んでいた。

 それがここにきて、お気に入り登録が『相棒 シーズン23』が77.7万で今期1位、『ザ・トラベルナース(2024)』が72.1万と好調。配信視聴が一般化するのに合わせて年齢層が高めだったテレビ朝日系ドラマのファンも、配信で見始めたということだろうか。日曜劇場も視聴者層がテレ朝ドラマと似ているため、配信が弱かったのだが、先を越されたかっこうだ。テレ朝ドラマはもともとファンの数は多いため、配信でもTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」を食ってしまうかもしれない。

 とはいえ、『海に眠るダイヤモンド』は始まったばかり。野木・塚原・新井という、強力チームで面白くならないはずがない。早くもX上では、現代のいずみ(宮本)が、端島のリナ(池田)、朝子(杉咲)、百合子(土屋)のうち、誰のその後の姿なのかと考察も盛り上がっており、今後の配信での数字の伸びも期待できるだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。