■視聴者目線ではカウントダウンが迫っている“息苦しさ”

 一方の緒形は1995年の神戸を舞台にした回想パートで、商店街のアーケード設置を巡り主人公一家・米田家と関係が悪くなってしまう靴店店主・渡辺孝雄を熱演。大島美優(14)演じる娘・真紀ともども、過去編の重要人物として大きな注目を集めている。

「緒形さん演じる孝雄は、根は善人だけど、妻に先立たれたことで頑固になって孤立してしまっているという人物です。現時点で過去編は阪神淡路大震災が起こる4日前、1月13日まで描写されていますが、孝雄は今後も重要人物としてシナリオに深く関わってくるようです」(前出のテレビ誌編集者)

 名優の参戦に加えて、『おむすび』の評価が変わり始めた2つ目の理由――それは、「重い」リアル感のようだ。

「当初から、朝ドラの視聴層には“ギャル文化”が馴染みが薄くて刺さらない、と言われてきました。描かれるエピソードもユルく、ギャル文化を通っていない人には“何を見せられているのかな?”感もあった。

 しかし、10月21日放送回の回想から空気が変わった。大震災が目前に迫っていることなど知る由もない、平和で穏やかな神戸の情景が描かれ、そのうえで視聴者に向けたメッセージとして“日めくりカレンダー”がまるでカウントダウンのように映される。

 多くの日本人にとっての“リアル”である震災が、これから描かれることになるのは間違いないわけで、急にシリアスになり、引き締まったドラマに注目する視聴者が増えているということでしょう。本作は平成が舞台ですから、2011年に発生した東日本大震災の話もいずれ描かれるのでは、という声もありますね」(前同)

『美少女戦士セーラームーン』や安室奈美恵(47)、『なかよし』(講談社)、『りぼん』(集英社)、『ちゃお』(小学館)といった、1995年の描写にリアリティを出す人物、作品などが実名で登場していることもあり、

《実名歌手や実名漫画誌を出してるのは、本気のリアリティをもって震災を描こうとしてるんだなと、少し恐ろしくもなってくる》
《なんか神戸の震災がじわりじわりと差し迫ってくる感じ》
《歩の回想が、ちょっとずつ「あの日」に近付いているの凄く胸が苦しくなる》

 など、緊張感を抱いてドラマを見ているという声が多く寄せられている。