■山手線の内側にも存在する老舗の激安そば店
都心をグルリと囲む山手線の内側にも激安そば店は存在する。ラブホテルが立ち並ぶ下町、台東区の鶯谷。そこにあるのは1972年創業の老舗『信濃路』だ。そば、うどんの他にも、100近くのメニューがある。
こちらの店は、かけそば一杯300円。色の濃いカツオだしのつゆは酒のシメにもぴったりだ。
「かつては200円で提供していましたが、コロナ明けの2年前にやむをえず値上げに踏み切りました。他にも、5個入り350円で提供しているシュウマイも、1つあたりの原価が32円から43円に上昇と、値段の据え置きは苦しい」(『信濃路』店長=以下同)
2011年に『苦役列車』で芥川賞を受賞した、作家の故・西村賢太氏も、同店に足繁く通ったという。
「カウンターで週3日、独りで飲んでいました。お気に入りは、肉野菜炒め。ビールやウーロンハイと一緒に楽しんでいました」
燃料費や材料費の値上げにめげずに、安さにこだわる理由は常連客への気持ちだと語る。
「社長の“昔からお世話になったお客様へ少しでも安く提供したい”という思いから、なるべく価格を上げないよう努めています」
人情たっぷりな東京の立ち喰いそば。
この価格なら、おなか“いっぱい”食べられそうだ。