師走を間近に控えた今こそ、気をつけたいのが、“歯の健康”。特に、これからの時期は歯周病のリスクが高まるという。

「年末は、仕事と飲み会で生活が乱れ、免疫力の低下により歯周病が進行しやすいんです。しかも、心身のストレスにより歯ぎしりもしやすくなります。その悪い圧力が歯茎を痛めつけ、さらに歯周病を悪化させるんです」

 こう言うのは、『おとなの歯磨き』(フローラル出版)の著者で、訪問歯科医師の伊東材祐氏。伊東氏は歯周病を放置すると、歯を失うだけでなく命の危険にもつながると、次のように指摘する。

「歯周病による炎症性の物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くするので、糖尿病の原因にもなります。さらに恐ろしいのは、歯周病菌が、歯肉の血管に入り、血流に乗って全身を巡り、血管壁に炎症を引き起こすことです。血管が狭く詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの大病を引き起こしてしまうんです」

 つまり、長生きのためには、歯周病を改善・予防することが不可欠なのだ。そこで今回は、伊東氏に、虫歯や歯周病にならないための“正しい歯磨き”を教えてもらった。

「歯磨きの最大の目的は、病原細菌を除去すること。口の中には約700種類、数十億もの細菌がいて、そのうちの約20種類が歯周病菌です。歯の周りにいる細菌なので、歯はもちろん、歯茎こそ、きれいにする必要があります」(前同)

 歯磨きの第1の手順は、歯垢染色剤(カラーテスター)を使って、口の中の状態を確認すること。

「虫歯や歯周病を引き起こす最大の原因は、細菌の塊である“歯垢(プラーク)”。目に見えない細菌を、赤く染めるための道具がカラーテスターで、口の中のどこに歯垢があるか、ひと目で分かるようになります」

 カラーテスターは、個人でも、薬局や通販サイトで手軽に購入できるという。