■3つの磨き方で菌を撃退

 歯垢の位置が分かったら、第2の手順へ。

 歯間ブラシを使って、歯と歯の隙間を徹底的に磨いていこう。

「カラーテスターを使うと、歯と歯の間が真っ赤に染まり、細菌を目視できます。そこが歯周病菌の温床なので、徹底的に磨いてください。特に中高年の方は歯の隙間が増えるので、歯間ブラシは必須です」(前出の伊東氏・以下同) 

 また、歯周病菌は、歯と歯茎の隙間の“歯周ポケット”にも潜んでいる。

「歯周病菌は、空気が嫌いな“嫌気性菌”で、アミノ酸を食べるので、空気が入ってこない歯周ポケットにいるんです」

 ここは、「毛先が長くて柔らかめの歯ブラシ」を使った、『バス法』という磨き方が有効だという。

「歯と歯茎の境目に、歯ブラシの毛先を45度の角度で当てるのがコツです。毛先を歯に沿うようにすると、歯周ポケットにスッと毛先が入ります。鏡を見ながら、小刻みに毛先を動かしましょう」

 第3の手順は、歯の表面の掃除。

 「毛先が短い硬めの歯ブラシ」を使って、汚れを落としていこう。

「食べ物に含まれる糖分や細菌によって、歯の表面には、べったりと歯垢がくっついています。はがれにくいので、硬めの毛先でしっかり磨く必要があります」

 手順2と3で、歯ブラシを使い分けるのも重要。歯の表面は、『横磨き』と『縦磨き』を実践してほしい。

「歯ブラシの持ち方は、人差し指、中指、親指の3本で持つ“ペングリップ”がオススメです。歯ブラシのヘッドを自由自在に動かしやすく、隅々まで磨けます。また、歯はだ円形なので、横磨きだけだと毛先が当たる範囲が限られ、磨き残すので、必ず“縦磨き”もしてください」

 歯磨きをすると、出血することも多いが、「不安になることはない」という。

「歯間ブラシやバス法をすると、ほぼ確実に出血をしますが、その血には歯周病菌や歯周病菌が出した毒素などが大量に含まれています。歯磨きで血を出すのは、いわばデトックス。“出血で歯磨きをやめるのは本末転倒”と考えましょう」

 ただし、出血時に痛みがある場合は気をつけるべし。

「磨く力が強すぎて、歯茎を傷つけている恐れがあります。そのときは、すぐに中止してください」

 ちなみに、歯磨き粉は、モチベーションアップに何を使ってもいいそうだ。

「大切なのは、歯垢(細菌)を歯ブラシで物理的に除去することです」