■歯磨きは1回10分が理想

 歯磨き粉の代わりに、天然塩もオススメだという。

「塩は、細菌の水分を吸い出すので、大きな殺菌効果が見込めます。また、歯茎からも余計な水分を取り除くので、歯茎が引き締まりますし、口臭も消えます。しかも、天然塩は、ミネラル豊富で健康にいい。小皿に塩を盛って、歯ブラシをちょこんとつけるだけなので、ぜひ」(前出の伊東氏・以下同)

 最後に、大切になるのが、歯磨きにかける時間だ。

「1回の歯磨きにかける時間は、10分以上が理想です。でなければ、歯垢(細菌)をきれいに除去できません」

 そこまで歯磨きに時間を費やせない……そんな人も、ご安心を。

「朝昼晩の歯磨きを、すべて10分以上にする必要はありません。まずは、1日1回、10分間の歯磨きをする習慣を身につけましょう。初めは面倒ですが、テレビや雑誌を見ながら磨けば、あっという間です」

 また、年末の忘年会シーズンは酔っ払ってしまい、夜の歯磨きが面倒くさいと思うこともあるだろう。

「そんなときは、食べる前の歯磨きで除菌しておく。または、帰宅後に1秒だけ歯を磨く、と自分に言い聞かせましょう。歯磨きで口の中の神経を刺激すると、脳の快感を司る部分も刺激されます。面倒くささが吹き飛んで、歯を磨くスイッチが入るので、“飲み会後は1秒歯磨き”と、心がけてください」

 歯磨きの本質は、除菌。正しい歯磨きで、年末年始を元気に駆け抜けよう。

伊東材祐(いとう・さいゆう)
1975年生まれ。歯学部卒業後、大学病院付属の特殊機関で歯周病、かみ合わせ、最先端の義歯治療、歯内療法、オーラルリハビリテーションなどの先進医療の研鑽を積んだ後、在宅医療を専門とする歯科医院を開設。著書に『おとなの歯磨き』(フローラル出版)がある。