■長崎で鉄火巻きといえば“白”
最後は、すき焼きと並ぶ国民食、寿司で東西対決。
「寿司の始まりは、滋賀県周辺の“なれずし”です。塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものでした。江戸時代中期には大阪で箱寿司が誕生。それが関東に伝わり、江戸前のにぎり寿司になったんです」(同)
今や、東の江戸前がスタンダード。ただ、西日本の寿司も個性豊かで負けていない。
「高知県には、野菜など、地元の山の幸を載せた“田舎寿司”があるんです」(同)
ミョウガやこんにゃく、シイタケなど、色鮮やかな食材が、食欲を刺激する。さらに、九州地方の長崎県からは、こんな声が。
「鉄火巻きといえば、白身魚のヒラマサやブリを巻いた“白”!マグロの鉄火巻きなんか考えられませんよ」(長崎県・70代男性)
なぜ、“白い鉄火巻き”は誕生したのか?
「海の幸が豊富な長崎県では、プリプリとした食感の新鮮な魚こそが最高のぜいたくでした。そのため、ねっとりとした食感のマグロより、白身魚の鉄火巻きが好まれたそうです。県内には、鉄火巻きは白しかない寿司屋もあります」(椿氏)
奥が深い、日本の食文化。行楽の秋は、東西の違いを楽しんでみては?