■ピュアさに徹した深澤辰哉
同じく、一本調子な演技に厳しい声が飛んだのが深澤だ。松本若菜(40)主演の『わたしの宝物』(フジテレビ系)で、主人公・神崎美羽(松本)の幼なじみで、フェアトレード会社の経営者・冬月役で出演。夫・宏樹(田中圭/40)のモラハラに傷ついた美羽と、不実な関係を持ち、妊娠させてしまう。
美羽と宏樹と冬月、美羽の親友・真琴(恒松祐里/26)、冬月の同僚・莉紗(さとうほなみ/35)ら、それぞれの思惑が交錯するドロドロ劇の中、冬月だけは一貫して「美羽を救いたい」の一点張りで、中学時代からの純粋な恋心に執着するばかり。深澤の演技も、その感情がどこにあるのかわからず、薄い印象があった。
しかし、登場人物が右往左往する中、その冬月のピュアさや幼稚さ、あるいは単純さが、複雑さを増す物語を見やすくしていたのは確か。深澤の演技の薄さもまた、演出だったようなのだ。
薄さは感じるが、これまでの出演ドラマから、「出過ぎず、引きすぎず、役の立ち位置をつかむのが上手」と評する、本作の三竿玲子プロデューサー演出のオーダーに、しっかり答えた深澤の演技は、俳優的に十分といえるだろう。一見、何を考えているかわからない雰囲気が生きるキャラなら、今後の俳優活動も期待できる。
Snow ManもSixTONESも、ドラマや映画で活躍メンバーが増え、俳優枠も変化し始めている。その中でも、ジェシーと深澤の今後に注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。