■『べらぼう』はリアタイ視聴に不利か

 一方で、《家族が見てて、吉原、遊女がメインストーリーで頼むから詳細質問しないでくれ! って思ってたら、全裸の遺体シーンでトドメ刺された》《大河ドラマって家族みんなで見れるものではないの? 主人公が吉原出身なのは理解するけど、台詞があまりにも直接的でこれは耐えられない》などと、攻めた演出にとまどう声も。

 映画やドラマなどで性的なシーンを撮影する際、俳優の心身の安全を守り、俳優と演出側の意向を調整する役割を担う、インティマシー・コーディネーターを大河ドラマで初めて導入したことが話題になっているが、それだけ制作陣に力が入っていた証だろう。

 演出の大原拓氏はマイナビニュースの制作陣インタビューで、舞台となる吉原の背景から「目を背けないようにしている」と発言。脚本の森下氏も、子どもと話しにくい話題も出てくるが、「想像ができる大人になる肥やしにしてもらいたい」と語っており、本作はとまどいの声が上がったリアルな江戸の姿を今後も描きそうで、前期『光る君へ』に続いて攻めた大河になりそうだ。

 最近は、前述の攻めた『光る君へ』など、これまでの大河の枠にとらわれない作品が多い。ただ、攻めてはいるものの、多数の視聴者ににウケる内容にはなりにくいので、視聴率は伸び悩んでいる。しかし、『光る君へ』も視聴率こそ低かったが、配信では過去最高の視聴数を記録しており、妥協なき作品も支持されることを証明した。『べらぼう』も同じように配信で伸びるはずだ。

 第2話では、蔦重は吉原に客を呼び寄せる案として、吉原の案内本『吉原細見』の売り上げを伸ばすことを思いつき、その序文の執筆を依頼するため、江戸の有名人である平賀源内(安田顕/51)探しに奔走するという。江戸町人のリアルを描く、新しい大河に期待できそうだ。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。