■かつて劇場版が頓挫した『クウガ』
ファンがオダギリの帰還を願ってやまないのも無理はない。仮面ライダーは本編終了後も別作品に客演することが多いが、クウガはともかく“オダギリ演じる五代雄介”はそういった機会が1度もないからだ。
また、平成仮面ライダーシリーズにおいて、『仮面ライダークウガ』は唯一劇場版が製作されていない作品でもある。『クウガ』終了直後に発売された『超全集』(講談社)にはオダギリ、高寺氏が映画化の約束するコメントが掲載されていたが実現には至らず、2006年6月1日に高寺氏による謝罪メッセージが作品公式サイトに掲載され、以降、動きはない。
そんな高寺氏は06年5月末に東映を退職し、その後KADOKAWA、角川大映スタジオに転職。23年末に定年退職したことで、第一線から退いた感じもある。今年が『25周年』イベントも大々的に開かれる節目の年であることも考えると、ここを逃したらいよいよ“タイミング”を逃してしまうのではとも思われる。
また、近年の東映特撮を巡っては、もはや売れっ子すぎて客演は困難では、とファンも諦めかけていた人気俳優を続々と出演させている実績がある。
具体的には、18年に『仮面ライダー電王』(2007)主演の佐藤健(35)、昨年から今年にかけては『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)出身の山田裕貴(34)や、『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014)主演の志尊淳(29)といった、特撮出身の大人気俳優を現行作品に客演させることに成功している。
さらに『仮面ライダー』に深く携わり、現在は東映の上席執行役員でもある白倉伸一郎氏(59)は、昨年12月に動画サービス『東映特撮ファンクラブ』で配信されたインタビュー『東映のヒミツぜんぶバラしまスペシャル!〜おや、誰か来たようだ』にて、今後の『仮面ライダー』の映画展開を説明する際、「いわゆる周年、過去のテレビシリーズベースのもの」や「全くテレビシリーズをベースにしていないもの」のプロジェクトが進行中だとコメントしているだけに、この「周年」に『クウガ』も該当することを願うファンは多い。
オダギリは現状『仮面ライダークウガ』の25周年に対してリアクションしていないが、22年1月30日配信の『シネマトゥデイ』にて、こうコメントしていた。
《俳優として、あの現場で育ててもらったところがありますね。一年間、役と向き合いその深みを追求できたし、作品を作る醍醐味を教わった現場でもありました。そういう意味でも、実にいいお仕事と巡り合えたと思っています》
ファンの間では “五代雄介をもう苦しませたくない”という理由で続編に難色を示す声もあるほどに愛されている『仮面ライダークウガ』とオダギリ。25周年、近年の東映特撮の“実績”、東映役員の気になる発言――期待してしまう要素はあるのだが、果たして令和に再び、五代雄介が降臨することはあるのだろうか。
特撮ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受ける。その後、歳を重ねても熱量は衰えず『クウガ』から始まる平成仮面ライダーシリーズと現在も歴史が続く令和ライダーはすべて履修し、『スーパー戦隊シリーズ』、平成以降の『ウルトラ』シリーズも制覇済み。『仮面ライダーゴースト』の主人公の決め台詞でもある「俺は俺を信じる!」を座右の銘に仕事に全力全開。