■使えなくなれば臓器を取り出して捨てられる

 今回の事件の舞台となった町、ミャンマーのミャワディはカジノ施設や高級ホテルも建っているため、一見すると華やかに映る。

 だが実際は、特殊詐欺のみならず、売春、違法薬物売買、臓器売買、人身売買、資金洗浄などが交錯する“犯罪都市”だ。

「首謀者は中国人犯罪集団。コロナ禍で多くの失業者が出て、特殊詐欺に手を染める者も増えました。

 拉致された外国人は犯罪に強制的に加担させられ、奴隷のような長時間労働を強いられる。暴行や電気ショックを受けるのも日常茶飯事。使えなくなった人たちは臓器を取り出して捨てられていると中国国内ではまことしやかに囁かれています」(ビリー高橋氏=以下同)

 なぜ、これほどの無政府状態となったのか。

「ミャンマーがビルマと呼ばれていたのは、ある程度の年齢の方ならご存知でしょう。ミャンマーはビルマ族が約70%で最大民族ですが、ミャワディがあるカレン州はカレン族の武装勢力が実効支配している。

 そのため、ミャンマー軍事政権の統治が及ばない地域なんです。そこに中国の犯罪集団が付け込んだというのが全体像。いま摘発されている特殊詐欺は、一例でしかありません」