■唐沢寿明『プライベートバンカー』の持つ安定力

 安定感と言えば、唐沢寿明(61)主演の『プライベートバンカー』も強い。富裕層の資産形成や事業継承などを支援するプライベートバンカー・庵野甲一(唐沢)が、圧倒的な金融知識と人脈を武器に、“金”にまつわる問題に切り込む痛快マネーサスペンスで、視聴率は第8話(2月27日放送)までの全話平均が7.2%だ。

 唐沢と33年ぶりの地上波ドラマ共演が話題になった鈴木保奈美(58)のほかは、橋爪功(83)、夏木マリ(72)など、ベテラン揃いの盤石キャスト。と言えば聞こえはいいが、正直、キャストに華がないのは確か。ただ、さすがに実力派揃いだけあって、クセの強いキャラを見事に演じきり、ストーリーを彩っている。

 また、キャスト同様、人情味を含みつつ、悪巧みする奴を成敗する脚本にも、スキのない「安定感」がある。これは、ドラマ界のキング『相棒』シリーズに通ずるもので、テレ朝ドラマファンにとっては、文句なしのドラマだろう。固定ファンがしっかり付いているようで、シリーズ化も期待できそうだ。

 昨今、高視聴率な連続ドラマは視聴者の考察を煽るものが多かったが、今期は俳優陣、脚本、演出が安定した出来の作品が数字がいい。今後も、この傾向は続くのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。