■戦隊の大きな転換点となった作品でもある
戦隊出身の人気俳優――具体的には『天装戦隊ゴセイジャー』(2010)出身の千葉雄大(35/ゴセイレッド)、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011)出身の山田裕貴(34/ゴーカイブルー)、『獣電戦隊キョウリュウジャー』(2013)出身の竜星涼(31/キョウリュウレッド)と塩野瑛久(30/同グリーン)、『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014)出身の志尊淳(29/トッキュウ1号)と横浜流星(28/同4号)など。
ちなみに、上記の全員大河ドラマの出演歴があり、横浜に至っては、現在放送中の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で松坂に先駆けて大河主演を果たしている。
そんな多くの伝説を持つ『シンケンジャー』だが、戦隊ものの歴史のなかでも大きな転換点を迎える作品だったことが、前述の『あさイチ』で明らかとなっている。
松坂の大河主演発表の当日、『あさイチ』では「“男らしさ”という価値観はどこから来るのか?」というテーマを掘り下げるにあたり、『スーパー戦隊シリーズ』が取り上げられ、そこで東映のベテランプロデューサー・白倉伸一郎氏(59)に話を聞くことに――というVTRが流れた。
まず、白倉氏は、戦隊は男性主体の戦闘集団という都合もあり、過去にはどうしても男女のキャラ設定が固定概念にとらわれていて、女性戦士には“お姉さん”や“紅一点”など、「男性目線」での憧れが付きまとっていたことを説明。そのうえで大きな転換点が『侍戦隊シンケンジャー』だったと明かした。
『シンケンジャー』はレッドが「殿」、他のメンバーは「家臣」と、戦隊内に明確な主従関係がある作品。家臣は性別関係なく、「殿」とどう関係を築いていくかを描く作劇を指して「男性優位の戦闘集団、みたいなテーマ性はない」と評し、「(ここから『戦隊』は)一皮も二皮も剥けたんじゃないかな」と解説した。
同VTRで白倉氏は現場が大切にしている思いとして「男女というより人間を描き、いろんな人間像を提示することが大事」ともコメント。最新作『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』では、戦隊50周年の歴史で初となる“女性の戦隊ブラック”が登場することも、『あさイチ』内で紹介された。
戦隊の歴史に大きく影響を与えた伝説的作品『侍戦隊シンケンジャー』。その作品で主演を務めその後、俳優としてのキャリアを積み重ね、ついにNHK大河ドラマの主演という大役も手にした松坂。そんな彼には、今後もさらなる大活躍を期待をしたい。そして願わくば、また“殿”ことシンケンレッドを演じて欲しいものだ――。
特撮ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受ける。その後、歳を重ねても熱量は衰えず『クウガ』から始まる平成仮面ライダーシリーズと現在も歴史が続く令和ライダーはすべて履修し、『スーパー戦隊シリーズ』、平成以降の『ウルトラ』シリーズも制覇済み。『仮面ライダーゴースト』の主人公の決め台詞でもある「俺は俺を信じる!」を座右の銘に仕事に全力全開。