■『キャスター』がちぐはぐなわけ

 また、最終回では本筋の自衛隊機の墜落事故の謎のほかに、『ニュースゲート』の編集長・市之瀬(宮澤エマ/36)が、反社の孫というトピックが唐突に入れられた。ストーリーに大した影響を与えることなく解決し、これが描かれた意図がわからない。

 あちこちがちぐはぐだった『キャスター』だが、ひょっとすると、6人の脚本家による共同脚本という、“ライターズルーム方式”の制作体制がいけなかったのかもしれない。いろいろな視点からアイデアを出せるのはメリットだが、本作では、それらが有機的につながっていたとは思えない。全体を通してやたらギクシャクしていたのは、この共同脚本がうまく機能しなかったからではないだろうか。

 7月期の日曜劇場『19番目のカルテ』は、松本潤(41)主演の医療ドラマで、富士屋カツヒト氏の漫画『19番目のカルテ 徳重晃の問診』(コアミックス)が原作。NHK大河ドラマ『べらぼう』で瀬川花魁を演じて新境地を開いた、最旬俳優の小芝風花(28)の新米医師役での出演もあり、こちらも期待値が上がるが、さて、どうなるか。

 続いて『恋は闇』は、テレビ局の情報番組ディレクター・筒井万琴(岸井)と週刊誌のフリーライター・設楽浩暉(志尊)が、同じ連続殺人事件を追うなかで惹かれ合うことから始まる、“真実を見抜く目をもっているか?”を問うオリジナル脚本作品。恋愛プラス考察ミステリーという、鉄板ジャンル同士の組み合わせだが、TVerのお気に入り登録数は58.1万(6月17日現在)と惨敗だ。