■小芝風花の出番が少なすぎか
初回から丁寧な描写で胸にしみると好評な本作だが、いかんせん展開が地味なところがある。徳重は問診だけで解決に導くスタイルなのだから仕方ないが、ドラマ的には、もう少し動きがほしいところ。今回も、場面は基本、病院内と茶屋坂の実家だけで、主要人物も徳重と茶屋坂とその母だけで、あとのキャストはモブに徹していた。
これを、《登場人物が多すぎないから、ストーリーが見やすいと感じられる》《一見地味なお話だけど、だからこそ深く胸に響いて好き》などと、好意的に見る視聴者もいるが、ドラマとしては地味だと言わざるをえない。好きな人には刺さるが、万人受けするタイプではないだろう。それが視聴率の数字の下がり具合に出ている。
また、もったいないのが、繊細な感情表現で新米医師・滝野みずきを演じている小芝風花(28)だ。NHK大河ドラマ『べらぼう』で花魁を演じて名を売ったところだったので、もっと小芝をフィーチャーすれば、ここまで視聴者は離れなかっただろう。原作はあるが、脚色が多くされているらしいので、多少のアレンジは可能だったはずだ。
次回は、滝野(小芝)は在宅ケアを望む患者の訪問診療の担当を任され、初めてのターミナルケア(終末期医療)を体験することに。また、徳重の恩師・赤池登(田中泯/80)も登場するため、滝野のターニングポイント回になりそうだ。小芝風花がメインになることで、視聴率の挽回ができるのか注目したい。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。