■ジワり肉迫中の中日も侮れない

 また、広島も侮れない。

「1番に固定されてバットが冴え出した中村奨成(26)に、打率、得点圏打率トップの小園海斗(25)、それにファビアン(27)、モンテロ(27)の新外国人選手も日本の野球に溶け込んでいる。投手陣も、昨年の“9月大失速”にならないよう調整しているはず」(スポーツ紙ベテラン記者)

 ただ、こと巨人に関して言えば、巨人にとっては今季、大きく負け越してはいるものの、

「喫した11敗のうち9敗が、鬼門のマツダスタジアム。残り試合は6戦中5戦が東京ドームだから、そこまで悲観する必要もないでしょう」(同)

 一方、ベテラン記者が「侮れない」と警戒するのが、最下位ヤクルトを引き離してジワり肉迫中の中日だ。

 チーム防御率は巨人に次いで2点台をキープ。課題の打線も、この8月には上林誠知(30)が月間打率3割4分9厘でトップに立つなど、貧打もそこまで気にならない。

「唯一、大きく負け越しているDeNAとの直接対決が残り1試合のみというのも、中日にとっては好材料。

 昨季ほど安定感のない髙橋宏斗(23)に代わり、復活の大野雄大(36)が、きっちり試合を作っているというのも大きいよね」(同)

中日ドラゴンズ・大野雄大
復活!中日ドラゴンズ・大野雄大 ※画像/『@DragonsOfficial』中日ドラゴンズ公式Xより

 とはいえ、選手層の厚さから見ても一歩リードしているのは、巨人だろう。

 岡本和真(29)という最重要ピースが、ここへきて間に合ったというのも、これ以上ない追い風だ。前出の角氏がきたるCSを見据え、こう言う。

「本気で日本シリーズを狙うなら、大前提で2位は死守。そのうえでファイナルステージ第1戦には、是が非でも山﨑をぶつけたい。

 ここを山﨑で確実に取れば、最終戦までもつれても中4日でまた山﨑を使える。そのためにも、ファーストステージは戸郷翔征(25)、グリフィン(30)らで、すんなり抜けたいところだね」

 もっとも、待ち受ける阪神は、早々に優勝を決めて投打の主力も休養十分。

「アドバンテージ1勝に加え、才木浩人(26)と村上頌樹(27)の2枚看板を初手から使えるのだから、仮に巨人が山﨑を温存して勝ち上がったとしても、圧倒的有利は揺るがないよね」(ベテラン記者)

 才木&村上の仕上がりが盤石なら、それだけで難なく王手をかけるだろう。

 仮に巨人がCSのファイナルへ進んだとして、勝算はあるのだろうか。

「だからこそCSでは、田中将大(36)と井上温大(24)、赤星優志(26)と横川凱(25)ら、タイプの違う左右をセットにして、第2先発的に使うといった奇策も、どんどん使ってほしい。

 阿部監督が得意としてきた“日替わり起用”は、選手のコンディションがモノを言う短期決戦でこそ、生きる戦法だしね」(角氏)