■どんな役柄もフィットしてしまう中島歩の秘密
Ｘ上では、《川原なにがしは中島歩氏の声・外見・演技だからこそ成り立つ人だった。正直めちゃ自分勝手でキモいんだけれど、中島さんにかかるととても魅力的》《ヤバい川原さん（身勝手だけど不器用さありそうでなんだか憎めない感あり）演じる中島さん演技上手くて最高》などと、中島の演技が高く評価されていた。
これまで、変幻自在の演技を見せてきた中島。『不適切にもほどがある！』（ＴＢＳ系）では、二枚目ながらダサさ満点の中学教師。『海のはじまり』（フジテレビ系）では理解ある上司。『あんぱん』では、ハチキンのぶを愛する懐深い夫。そして本作では、クズ男からいいヤツまで、異様に振れ幅の広い役柄。多彩な顔を見せているが、どれもこれも不思議なほどフィットしている。
その秘訣は、独特なセリフの間だろう。絶妙なリズム感を持っていて、さまざまな感情に説得力を与える。そして、つい耳をそばだててしまう低音ボイス。どんなに理不尽な川原の言葉でも聞き入ってしまう。その演技を見ているうち、いつしか中島の演じるキャラにハマってしまうのだ。
本作の中島の演技は、サブキャラとしてはアクが強すぎたかもしれないが、それは、どんな役柄でもこなせるということでもある。来年のＮＨＫ大河ドラマ『豊臣兄弟！』の浅井長政役に続き、今後、オファーが殺到するのは間違いない。（ドラマライター・ヤマカワ）
■ドラマライター・ヤマカワ 編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、ＮＨＫの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。
