■中野の調子が良ければ優勝!?

 その阪神も、この10月3日に有観客でオリックス2軍との練習試合を組むなど、対策も講じてはいる。

「キーマンは7月、9月が打率2割台前半と、好不調の波が分かりやすかった中野拓夢(29)でしょう。

 優勝した23年・25年と、去年の違いは中野の成績によるところが大きい。近本と強力なクリーンアップのつながりを生み出せるかが重要です。

 この2週間で彼が調子を下げるようなら、つながりも悪くなる。相手にとっても付け込む隙になりそうです」(他球団スコアラー)

 とはいえ、今季2冠の佐藤輝明(26)を軸に据えた打線は、安定感も随一。

 そのうえ、復帰のデュプランティエ(31)らも先発で使えるとなれば、死角はほぼないと言っていい。

 続いてパ・リーグは、惜しくも優勝を逃した日本ハムと、3位オリックスとのファーストステージ。

 完投能力も高い先発ローテをそろえる日本ハム有利との声が、識者の間からも聞かれるが……。

 日ハムOBでもある野口氏は「ナメてかかると、やられる」と、こう続ける。

「仮に1勝1敗のタイに持ち込まれて、3戦目に山下舜平大(23)をぶつけられたら、ともすればハムはファーストで敗退もありうる。

 オリは骨折の西川龍馬(30)が不在も、中川圭太(29)は12発のうち5発が日ハム戦。紅林弘太郎(23)も打率3割超と、打線もけっして侮れませんからね」

 一方の新庄ハムは、ファイナル突破も見据えて、伊藤大海(28)または北山亘基(26)の、どちらかは温存したいというのが本音。

 仮に加藤貴之(33)、新人王候補の達孝太(21)で連勝ができれば、これ以上ない理想的な展開だ。

 これには、監督経験もある伊原氏が「そう簡単にはいかない」と、こう話す。

「初戦を確実にモノにするためにも、出し惜しみは絶対に禁物。目の前の1勝を軽く見たら、それこそ足元をすくわれる。新庄も、さすがに初戦は伊藤でいくはずですよ」

 ただ、“劇場”とも称される新庄監督の采配にはアッと驚く奇策が付き物。

 勝てば首位ソフトバンクと1.5差まで縮まる局面だった本拠地最終戦、9月23日の楽天戦では、来日未勝利の孫易磊(スンイーレイ/20)を先発に送り、物議を醸した。

「この抜擢にスポーツ紙で苦言を呈した同学年の岩本勉氏に、新庄監督はSNS上で自ら反論。その後、両者がフォローを外し合ったことが判明し、ファンをザワつかせることに。単なる指摘にガチで切り返してしまうあたり、新庄監督も相当、追い込まれていたと見えますね」(前出のスポーツ紙デスク)

 もっとも、仮に日本ハムが勝ち抜けたとしても、福岡で待ち構えるソフトバンクは投打に布陣は盤石。

 最終盤には、復帰の柳田悠岐(36)を1番で起用するなど、選手層の厚さもまざまざと見せつけた。

「現時点でも首位打者争いを演じた柳町達(28)や牧原大成(32)を下位に置ける状況なのに、CSまでには、今宮健太(34)や周東佑京(29)も合流の見込み。捕手以外は誰一人、気が抜けないとなれば、相手にとって、これほど嫌な打線もないですよ」(野口氏)

 唯一、不安要素があるとすれば、ときに大量失点もありえる有原航平(33)だろうが、モイネロ(29)と大関友久(27)で連勝してしまえば、早くも王手。

モイネロ
モイネロで初戦が獲れたらソフトバンク有利