スーパースターの必須条件 常人離れした勝負強さ

 しかも、このとき一塁に向かった大谷は、敵軍にいたエンゼルス時代の同僚、イグレシアス(
35)にわざわざ歩み寄った。「頼まれていたサインバット、プラスチック製になるけど、いい?」と、軽妙なジョークで相手ベンチもしっかりフォローしている。

「9月16日のフィリーズ戦では、2002年のA・ロッド以来、23年ぶり、史上6人目となる2年連続50本塁打の快挙を達成。

 この試合では、先発投手としても5回ノーヒット、5奪三振。シーズン50奪三振にも到達し、新たな“50-50”達成も大きな話題となりました」(前同)

 もっとも、そこから、さらに想像の斜め上を超えてくるのが大谷の真骨頂だ。

  10月18日、ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦では先発投手として7回を投げ、無失点、10奪三振。打っても、初回先頭打者アーチを含む3発7打点の驚異的な活躍で、文句ナシのシリーズMVPに選ばれた。

「とりわけ内角をうまくさばいた2本目などは、並の打者なら間違いなく内野ゴロになる絶妙なコース。あれを打たれたら、バッテリーはもうお手上げです。

 あげくには延長18回までもつれたブルージェイズとのWS第3戦では、2本塁打&4敬遠を含む1試合9出塁ですから、もう言葉もありません」(前出の藪氏)

今季、二刀流復活を遂げた大谷翔平 ※画像/産経ビジュアル

 今季の大谷は、その大爆発で、あまたのポストシーズン記録を塗り替えたが、ここ一番で発揮される常人離れした勝負強さこそ、スーパースターの必須条件と言えるだろう。

 思い返せば、かのミスターも日本シリーズでの記録を数多く保持する。歴代最多となるMVP4回や通算安打&打点でもトップに立つ他、ロッテとの対戦となった1970年のシリーズでは、3打席連続本塁打も記録するなど、希代の“シリーズ男”として、その名を馳せた。

「生前の長嶋さんと交わした“約束を果たしたい”という松井秀喜氏の発言が波紋を呼ぶなど、その死後も影響力は、やはり別格です。

 11月10日には、NPBがプレーでファンを魅了した選手を表彰する『長嶋茂雄賞』の新設を発表しました。今後、その名は野球界の“公共財産”になっていくでしょう」(球界関係者)

 東京ドームから築地市場跡地に移転する巨人新球場のお目見えは、現時点では32年とされる。

「仮に松井監督が実現するとすれば、築地新球場への移転時が有力。球場自体にも、長嶋さんを顕彰する銅像などを建てるプランが、すでに検討されているようですよ」(前同)

 その頃なら、所属球団は別として大谷もまだ現役だろう。

 ミスターの名を冠した最新鋭球場で、松井巨人と日本球界に復帰した大谷が対戦する。そんなドリームマッチの実現も、あながち夢物語でもなさそうだ。