■大谷は“究極のお祭り”男に!

 対する大谷も、プロ2年目の14年には早くも2ケタ勝利&2ケタ本塁打を達成するなど真価を発揮し、翌15年には投手三冠。

 真の“二刀流”を解禁した16年には「1番・投手」で出場した7月3日のソフトバンク戦で、先発投手では世界初となる初球先頭打者アーチも記録する。

「この年一番のハイライトは、日本一に王手をかけた広島との日本シリーズ第6戦。同点で迎えた、8回2死満塁の場面でしょう。

 相手の中継ぎ投手、ジャクソンが、ネクストバッターズサークルに現れた大谷の姿に動揺して大崩れ。打席の中田翔に押し出し四球を与えて決勝点となりました」(スポーツ紙デスク)

 すぐに引っ込んだ大谷自身には結局、出番こそなかったものの、チームはそこから一挙に大量6得点。

 同年、史上初の投打Wベストナインにも選ばれた大谷は、打席にさえ立たずして値千金の結果をもたらす、究極の“お祭り男”へと進化を遂げてみせたのだ。

 では、前述したように安打&打点で歴代トップの“シリーズ男”であるミスターは、どうか。

 最も“らしさ”を発揮した場面は、黄金期の阪急と対戦したV9時代の67年。

「なんとミスターは、敵地・西宮での初戦に、用具一式を忘れて球場入り。心配顔の周囲をよそに、当人は何食わぬ顔で3安打3打点の大活躍を見せたんです。

 ちなみに、後楽園を経て再び西宮に戻って来た第6戦でも、今度は靴をはき替えるのを忘れて宿舎のスリッパのまま球場入り(笑)。ここでも本塁打を含む3安打3打点と、日本一の立役者になっています」(前同)

 一方、海を渡った大谷が、投打の両面で日本人選手の大リーグ記録を次々と塗り替える快進撃を続けているのは、周知の通り。

 エンゼルス時代の22年には、1900年以降の近代大リーグではベーブ・ルースも成し得なかった、史上初の規定打席&規定投球回のダブル到達も成し遂げた。

「22、23年と2年続けての2ケタ勝利&2ケタ本塁打は、かのベーブ・ルースでさえ成しえなかった快挙。

 2年連続の本塁打王&MVPも、異なるリーグでの連続達成&受賞はいずれも大リーグ史上初。前人未踏の“50-50”50本塁打&50盗塁も合わせ、昨季はまさに記録的なシーズンとなりました」(前出の福島氏)

 なお、その大谷の“偉大なる先達”ミスターは、「巨人軍は永久に不滅です」の名文句を残した、74年10月14日の引退試合でも、場外にまであふれ返った大観衆の前で、劇的な444号本塁打を放った。

 ルーキーイヤーから現役最終年まで、ベストナインに選ばれ続けるという、“不滅”の大記録を残して、ユニフォームを脱いでいる。

 実力と人気を兼ね備えた真のお祭り男。それを引き継げるのは、令和のスター・大谷だけかもしれない。

●昭和vs令和「お祭り男」記録対決

長嶋茂雄 大谷翔平
日本シリーズMVP
4回受賞
プロ野球に
二刀流選手誕生
幻を現実に
新人最多本塁打
104年ぶりの
2桁勝利&本塁打
歴代2位
首位打者を6度戴冠
仰天契約
10年総額7億ドル
ラスト球宴
千両役者弾
MLB史上初
「50-50」達成
引退の日に放った
444号
驚異の
10奪三振&3本塁打