■天覧試合で放った奇跡のサヨナラ弾!ベーブ・ルース超え世界の二刀流

 本人が望むと望まざるとにかかわらず、どんな局面でも決まって“お祭り”の主人公になってしまう。

 球史にあまたいる“お祭り男”の中でも、長嶋茂雄&大谷翔平ほど異質な存在も、そうはいないだろう。

 球界御意見番の江本孟紀氏も、彼らの存在感をして「相通じる」としたうえで、こう続ける。

「あれだけの結果を残しながら、当人はそこまで成績を気にしない。悲壮感やハングリーさを感じさせないから、周囲に敵を作らないというのも似ているよね。

 今の大谷がまさにそうだけど、相手に“対戦できて嬉しい”なんて思わせる選手は、私の時代も長嶋さんぐらい。反骨心がにじみ出ていた王(貞治)さんや張本(勲)さんとは、そこからして違ったよね」(前同)

 江本氏いわく、「彼らが常にそんなだからこそ、見えない力が不思議と働く」。まるで、すべてがお膳立てされているかのように「自然と流れも回ってくる」(前同)という。

 その最たる例が、59年6月25日。後楽園球場での“天覧試合”だ。

「ミスターがサヨナラ本塁打で試合を決めたのは、昭和天皇が、ご退出を予定していた21時15分の3分前でした。

 日本中を熱狂させた劇的すぎる幕切れがなかったら、今に続くプロ野球人気もあったかどうか。あの一発には、それほどの価値があったと思います」(前出のスポーツジャーリスト)

 ちなみに、その前年の58年、プロ1年目のミスターは、いきなり本塁打&打点の二冠に輝く新人離れの大活躍。だが、9月19日の広島戦での一発が、まさかの“ベース踏み忘れ”。

 これで記録上は投ゴロとなり、この年は29 本のホームランに終わり、1本差で史上4人目のトリプルスリーを逃す、という“らしい”逸話も残している。

「高卒と大卒の違いはあるにせよ、プロ1年目のインパクトでは、さすがの大谷もミスターにはかなわない。

 デビュー戦で4連続三振に斬って取った“カネやん”こと金田正一さんが、試合後に“あいつに打たれる日が必ず来る”と口にしていたほど。当時から、よほどモノが違ったんでしょう」(前同)