今年6月3日に惜しまれつつ亡くなった故・長嶋茂雄氏(享年89)と、ドジャースを初のワールドシリーズ(WS)連覇へと導いた大谷翔平(31)。 日本人の心をわし摑みにして放さない2大ヒーローを徹底比較。夢の対決が、ここに実現した!
■160キロ超直球と魔球スイーパーを動物的なカンは打ち砕けるのか!?
生来の“お祭り男”2人が、時空を超えて対戦したら、どんな勝負を繰り広げるのか。
ミスターが長年出演していた大手警備会社・セコムのCMでは、CGで長嶋vs大谷の“仮想対決”も先んじて実現しているが……。
自身もメジャー経験者である藪恵壹氏は、「さすがに時代が違いすぎる」と現実的。球速と変化球の進化を挙げて、こう続ける。
「仮に打席に立つのが全盛期の長嶋さんだったとしても、160キロ超のストレートや、50センチ近く横滑りするスイーパーを初見で打つのは、さすがに無理ですよ。
あんな球を投げる投手は、長嶋さんが巨人の監督で、私がまだ現役だった90〜00年代でさえ一人もいない。ヤクルト・伊藤智仁が1年目に投げていたスライダーが、いいとこでしょう」
とはいえ、そこは、どんなクソボールでも器用に打ち返す“悪球打ち”でも名を馳せたミスターのこと。
60年7月17日の対大洋ダブルヘッダー第1戦では、打たせまいと、あの手この手のバッテリーが選んだ、敬遠気味の明らかなボール球を“大根斬り”で一閃。
虚を突かれて打球を見失った野手の隙を突いて、まんまと本塁まで陥れる、ランニングホームランも記録した。
「長嶋さんの打撃論は“来た球を打つ”と極めてシンプル。バットが届く“マイゾーン”に来た球は、それがどんな球だろうと、あの人にとっては全部“打てる球”だったわけです」(スポーツジャーナリスト)
ちなみに当のミスターは、たび重なる敬遠に抗議の意を示すべく、バットを持たずに打席に入ったことも。
「でも、長嶋さんに手を焼く相手バッテリーには“そのほうが安心”と、かえって歓迎された(笑)」(前同)
直接対決は南海時代のオープン戦で一度きり、という江本氏が言う。
「長嶋さんには、スイング直前にバットを短く握り直すなど、他の人にはない独特のひらめきがある。実際、分かっていても身体が先に反応してしまう村山(実)さんのフォークには、そうやって対応していたからね。
たとえ大谷が相手でも4打席もあれば、おそらくアジャストはしてくるよ」
そんな氏の予想は「本塁打は最初から捨てたうえでの、4打数2安打」で、「1本は引っ張って三塁線。もう1本は軽打してセカンドの頭を超えるライト前と見るね」(前同)とのこと。
唯一無二の“二刀流”か、動物的な天性のカンか。夢対決の結末ははたしてーー。