■前代未聞の地上波中継なしに
他方、“プロ野球史上最大の下剋上”として知られる10年のロッテVS中日では、地味すぎるカードゆえの珍事も起きた。なんと7戦のうち3戦が地上波キー局での中継ナシに。これは全国ネットが確立された60年以降で初の事態でもあった。
「延長15回の引き分けに終わった第6戦と、再び延長となった最終戦は急遽、フジテレビが中継に入って視聴率も20%を超えましたが、白熱したシリーズだっただけに、ちょっと考えられないことでしたね」(キー局のテレビ関係者)
同様に白熱の日本シリーズとして記憶に新しいのが、13年の楽天VS巨人。星野仙一監督が、球団創設9年目にして楽天を日本一に導いたシリーズだ。
楽天が王手をかけた第6戦で、星野監督は田中将大(36・現巨人)で決めにいったが敗戦。
「その試合後、160球を完投した田中に星野さんが、“明日は(ベンチから)外れるか”と言いかけるや、言い終わらないうちに“行きます”と田中は答えたそうです」(前出の在京スポーツ紙記者)
同記者によれば、後日、星野監督は親しい人に、
「メジャーに行くのが決まっていたから、本当は無理させたくなかったが、こんなチャンスはそうそうあるもんじゃないし、田中もチームをあげて勝つということに飢えていたから。もっとも、日本一に一番なりたかったのは俺だがね」
と、話したそうだ。
毎年多くのドラマが生まれる日本シリーズ。いつまでも我々の心に残る伝説を見せて欲しい!