■大谷に弱点はないのか?
一方、大谷自身に克服すべき弱点はないのか。
ロッテ時代に“三冠王”落合博満氏の薫陶を受けた愛甲猛氏は、こう指摘する。
「強いて言うなら、対左投手時に構えが、やや開き気味になること。あれで外角へのアジャスト力が若干落ちている感じはするかな。
しかも元来、彼は疲れてくると目に見えて右腰の開きが早くなる。来季は二刀流でフル回転となると、そこは、ちょっと心配だね」
加えて、今季187個を喫した三振数も、首位打者奪取にはネックの一つだ。
愛甲氏も「いかにボール球を見極めるか」だとして、さらに続ける。
「どの球団も“大谷封じ”には、左のスライダーと右のチェンジアップ。インハイの直球を多投する。
逆に、それらを悠然と見送れるようになれば、もはや投手には打つ手がない。1試合3発打った、優勝決定シリーズ第4戦のような“手が付けられない”状態にも自ずとなると思うよ」
来春開催されるWBCでも、最強打者の大谷を「何番に置くか」は論議を呼ぶテーマだ。
劇的優勝の前回大会では、主に3番を担ったが……。
「前回大会でチームに勢いを付けたラーズ・ヌートバー(28=カージナルス)は故障で欠場濃厚。そうなると“1番・大谷”がベストでは。今季も先頭打者弾を12本放つなど、これほど相手にとって嫌な1番打者もいない」(前出の福島氏)
大谷の偉業をつぶさに見てきた我々からすれば、もはや50本塁打は通常運転。
「彼の能力からすれば、むしろベースラインが60本。我々が指摘できるレベルの課題など易々と克服してくる。ケガさえなければ、まだまだ進化していくと思うけどね」(前出の愛甲氏)
MLB14年ぶりの三冠王誕生となるか。WBC連覇で弾みをつけたい。