【大谷翔平 2026年 投手編】
■完全復活で200奪三振間違いなし 投打W規定到達でサイ・ヤング賞へ
投手としては23年9月に受けたトミー・ジョン手術からのリハビリを含めたシーズンとなった今季の大谷。14試合に登板すると、47回を投げて、62の三振を奪うなど回復ぶりは順調だ。
来季開幕からの“二刀流完全復活”へと向けて、「リハビリは終わった」と、当人も手応えを口にする。
投手・大谷の“ビフォーアフター”を「軸足の折れ具合」に着目して、大リーグ経験者の藪恵壹氏が、こう解説する。
「肩肘の負担を減らす意図もあるのか、以前と比べて沈み込みが深くなり、下半身の力を、より意識したフォームになっています。
また、そうすることでリリースポイントが自然と下がり、打者目線からは高めの直球の伸びが増す。その意味でも、理に適った“進化”と言えますね」
だからといって、すぐさまフル回転とはいかなそうだ。福島氏は、こう予測する。
「今季を見ても分かるように、デーブ・ロバーツ監督の起用法は常にポストシーズンからの逆算。来季の先発6人ローテを、すでに明言していることからも、“無理はさせない”ことが最優先になると思われます」
来季のドジャースがプラン通りに6人で先発ローテを回すとなれば、1人当たりの登板数は約27試合。
となれば、登板回数や勝利数も重視されるサイ・ヤング賞の期待まで背負わせてしまうのは、たとえ大谷でも、さすがに酷か……。
前出の藪氏も「中4日で、月に最低5先発はしないと同賞は厳しい」と、こう続ける。
「試合数で今季の2倍投げたとしても、30登板にも届かない。まして大谷は、まだ10年契約の3年目。使う側も、さすがにノーブレーキとはいかないでしょう。個人的には、二刀流を続けているうちは受賞も難しいとさえ思いますよ」
とはいえ、そこは数多の“前人未踏”を成し遂げてきた大谷。難易度はかつてなく高いにせよ、「サイ・ヤング賞の可能性ゼロ」とまでは言い切れまい。
福島氏が言う。
「投打のW規定到達を達成し、166イニングで15勝、219奪三振を記録した22年のフル回転を、防御率やWHIP(1イニング当たりに許した安打、四球の走者数)でも上回ってくるようなら、おそらく最終候補の一人には入ってくる。
そうなれば、二刀流であることも記者の投票行動には有利に働くはず。その意味でも、再びのW規定到達&200奪三振の大台は超えたいところです」
今季のナ・リーグでは、両リーグ唯一の防御率1点台が決め手となり、昨季の新人王ポール・スキーンズ(23=パイレーツ)が同賞を勝ち取っている。
ここに、例えば10勝&50本塁打のような付加価値が付けば、仮に登板数で他に見劣りしても、インパクトは絶大だ。
「今季12勝を挙げ、投票で3位に入った山本由伸(27)でさえ、1位票、2位票は1票も取れていない。優勝争いをしながら、個人成績でも圧倒的な数字を残すというのは、それだけ至難の業でもあるんです。
そこにすら期待を抱かせるだけでも、実はすごいことなんですよ」(前同)
来春に行われるWBCでは打者としての出場がメインになると見られる大谷。出場すれば、その間、投手としての調整にはブランクができてしまう。そうしたハンデを、いかに克服するかも鍵となるが……。
「調整登板ができない分、前回1次ラウンドの中国戦のような先発起用はある気がします。準決勝以降はさすがに、そうもいかないでしょうけれど……」(同)
投打のタイトルW獲りから、果ては三冠王&サイ・ヤング賞まで。まだ見ぬ“前人未踏”が楽しみだ。