2025年の秋ドラマ(10月~12月放送、帯ドラマ含む)は「豊作」で、数多くの俳優の名演技が感動を呼んだ。その中でも、圧倒的な演技を見せた女性俳優3人を紹介したい。
まず、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』で主演している高石あかり(22)だ。同作は、松江の没落士族の娘・小泉セツと、日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルにした物語。高石は、苦しい貧乏暮らしを送っているが、怪談を愛してやまない松野家の一人娘・トキを演じる。
高石は初主演映画『ベイビーわるきゅーれ(ベビわる)』の殺し屋・ちさと役で、キレのある打撃や軽やかな銃さばきなどのアクションと、自然な演技が高く評価されていた。今回、朝ドラという演技の幅を求められる場で、どんな演技を見せてくれるか、ファンが注目しているところだったが、期待をはるかに上回る好演を見せてくれている。
セリフはなくても表情やちょっとした所作で、トキの感情を見事に伝えてしまう、まさに“演技おばけ”。『ベビわる』で見せていたのは、ほんの一部だったようで、才能の底知れなさを感じる。セリフに頼らないのは、“ながら視聴”が多い朝ドラでは危険な賭けだったが、15%台で安定している視聴率を見る限り、それは大成功したと言える。まだ放送半ばだが、“勝利”の評価をあげていいだろう。