2025年下半期放送中の、高石あかり(22)主演のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、初回の平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は16.0%と好発進。その後も、これまでにない画期的な内容がウケて、第7週に16.1%、第8週に16.3%、第11週に16.5%と、最高記録を更新し続けている。
同ドラマは、松江の没落士族の娘・小泉セツと、『怪談』や『知られぬ日本の面影』などの名作文学を残した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルにした物語。怪談を愛する松野トキ(高石)が、外国人の夫のレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ/34)とともに、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の姿を描く。
普通の朝ドラは、半年間にわたってヒロインの成長を描いていく。ストーリーは山あり谷あり。ときに挫折し、悲劇に見舞われ、恋をして、幸せをつかんでいくのが定番の流れだ。25年前期放送の『あんぱん』や、14年後期放送で現在再放送中の『マッサン』のような夫婦ものもあるが、基本は変わらない。
しかし、『ばけばけ』はそのパターンに当てはまらない。脚本のふじきみつ彦氏は公式サイトで執筆にあたり、《何も起きない物語を書いています》とコメント。さらに《キラキラしているわけではないけど影というほど暗くもない、取り立てて人に話すほどでもない他愛もない時間。そんな光でも影でもない部分に光を当てる》と続けている。つまり、何も起きないアンチドラマな朝ドラなのだ。