■力士は“体のIQ”がとてつもなく高い

板垣:俺は、大相撲というのは天才の集まりだと思っているんです。力士は体型から洗練されたものを感じにくいのか、伝わりにくいんだけど、もう本当に天才なんだと。そして、思いついた表現が、“体のIQ”。これが、とてつもなく高いなと思ったんです。

貴乃花:そうですか。

板垣:10倍努力したって、我々が力士のようになるのは無理なわけです。

貴乃花:でも、私は、先生のように一芸秀でる方も同じだと思いますよ。先生だって、若いときから、骨ができる前から鍛えれば、そうなれたと思います。

板垣:いやいや(笑)。俺は漫画の才能は間違いなくありますよ。しかし相撲は……。

貴乃花:先生がその才能があるということは、何をやっても才能を見出せるんですよ。これが世の中の厳しさなんです。子供たちには、そこから先を言っちゃうと、持って生まれたものがないとダメなんだよって言っているようなものだから、なかなか難しいんですけどね。

板垣:でも、まさに力士は持って生まれたものがある人たちの集まりですよね。貴乃花さんも早くから見出されたんじゃないですか?

貴乃花:私の場合、実はそうでもなくて、うちの親父が大学までは行ってくれと、力士とは違う生活をしてくれという育て方でした。

板垣:え〜……。

貴乃花:親父は大関でしたし、悲壮感もありましたから、子供ながらに、そこは感じとっていました。けど、親父に言われたのではなく、自分で決めて相撲道に入ったので、いざというときに根性を出せたと思うんです。

板垣:お父さんは名大関でしたよね。立ち合いの中で一度、完全にしゃがみこんだ後に、グンと立ち上がったことがあって、俺は、人間って、こんな動きができるんだなと思って。

貴乃花:足腰だけで言うと、親父は50年、いや100年に1人だと思います。

板垣:ですよねえ。