■FPの回答
――年収1600万円、貯金1500万円の夫妻が1億5000万円台のタワマンを購入することは現実的なのでしょうか?
「住宅ローンの目安は年収の5倍から7倍程度と言われていますが、近年では物件価格が高騰しているため、年収の10倍程度でも借り入れ可能な場合があるようです。預貯金が1500万円ありますが、初期費用(登記費用、登録免許税、ローン手数料・保証料、火災保険・地震保険)で物件価格の5%程度を見込んでおく必要があり、今後の生活防衛資金も考えると預貯金として1500万円あっても頭金に回せる金額はほとんどなく、結果としてフルローンで物件を購入する状態になります。
定年が65歳だとすると定年まで33年です。返済期間45年でローンを組むと定年退職後も約12年間ローンの支払いが続きます。仮に借入金額1億5000万円・45年でペアローンを組んだ場合、0.64%という低い金利での支払いが続いたとしても65歳の定年時において約4400万円程度のローンが残る計算になります。
大企業の一般的な退職金(約2000万円)を全額使っても、約2400万円ものローンが残ってしまい、定年退職後もローンの支払いが続きます。夫婦の年金受給額が月30万円程度だとするとローンの返済ですべて消えます。これでは老後資金が早々に枯渇し、自宅を手放してローンを返済しなければならない事態になりかねません。金利上昇リスクを考えるとさらに厳しい状況が想定されます」
――岩井夫妻は残業代込みで住宅ローンを組んでいます。マンション購入をする上で、残業代込みで住宅ローンを組むことは現実的だと思われますか?
「残業代のように変動する収入を計算にいれて住宅ローンの計算をするのは避けるべきです。残業代は自分の意思でコントロールできない収入であり、会社の都合や社会情勢で少なくなる可能性があります。例えば、会社の業績悪化、景気後退、働き方改革などで、岩井夫婦の努力にかかわらず収入が減少します。
残業代をあてにして返済計画を立ててしまうと残業が少なかった月は、家計は即座に赤字に転落します。これを補填するために教育資金や老後資金を充てることになり、ライフプラン全体が崩壊しかねません。残業代を加味しない基本給をベースに返済可能なローンを組んでおき、残業代は繰り上げ返済や教育費の予備、家族旅行、資産運用などに回すというスタンスの方が良いでしょう」
――夫妻の子どもはまだ2歳と幼いです。今後、どれくらいの教育費が必要になるのでしょうか? また、教育費が必要になったときにローンの支払いに影響は出ないのでしょうか?
「大学卒業までにかかる教育費は進路がすべて公立かすべて私立かによって、総額に2倍以上の開きがあります」
・すべて公立:800万~1000万
・中学以降を私立:1600万〜1800万
・すべて私立:2000万~2500万(小学校から私立)
「特に注意が必要なのは、お子様が10歳前後(小学校4年生)になったときと大学入学のときです。この時期に住宅ローンの返済に無理がないかを検討しておく必要があります。中学受験を考えた場合、小学校4年生から塾に通い始めます。塾代として月5〜10万円が上乗せされます。首都圏の中学受験塾は、小4〜小6の3年間だけで300万円程度にもなります。無理な住宅ローンにより、お子様の進路を「お金を理由に制限する」ことのないよう慎重な検討が必要です」