俳優・石田ひかり(53)主演の連続ドラマ『鬼女の棲む家』(日本テレビ系/毎週水曜24:24放送)の第1話が4月1日に放送された。
同作は、過去にインターネット界を一世風靡した『2ちゃんねる(現5ちゃんねる)』の「既婚女性板」(略して既女=鬼女)をテーマにしたドラマ。昼間はごく普通の主婦の仮面を被る星野明香里(石田)が、裏では“鬼女”として、歪んだ正義感のもと、有名人やニュース、事件の犯人を特定し、“私刑”という快楽を貪る姿を描いている。他にも明香里の夫役の竹財輝之助(45)、子ども役に熊井戸花(19)、三浦綺羅(12)らが出演する。
ある種、非常にセンシティブなテーマのドラマではあるが、SNSでは《おもしろかった》《特定班本当にすごい》など好意的な意見が大半を占めている。
第1話では、SNSで鬼女として活動している明香里が、迷惑系配信者によるいたずら動画を発見。動画の背景から建物、住所、本人アカウントを特定し、炎上へと導き、謝罪に追い込む。だが後日、「炎上させてほしい人物がいる。協力しなければ、あなたの家族を炎上させる」という謎のダイレクトメールが届くという展開が描かれた。
これに対し、放送後から「普通に怪しいのは引きこもりの息子ではないか」と視聴者たちも考察を開始。本作のドラマのロケ地を特定するネットユーザーも出てくるなど、作品の外側でも“特定の連鎖”が起きている。また、夫役の竹財が“クズ役の名手”として知られることもあり、劇中での夫の炎上がすでにSNSでは予想されている。
では、このドラマで描かれる“鬼女”とは何か。
彼女たちはなぜ、ネット炎上を起こしていたのか──。ドラマ内で描かれていたことは決して大袈裟ではない。現実での事例を挙げていこう。
そもそも「既婚女性板」は、芸能人のバッシングなどが多い掲示板であった。だが2008年、『毎日新聞』の英語版サイトが、日本人を貶める虚偽的な内容の記事を長期間掲載していた問題を、当時の“鬼女”らネット民たちが突き止めた。過去記事をリストアップし批判、大規模な抗議へと発展。最終的には同社の社長が謝罪するにまで至った。
この一件により、彼女たちは「執念深く、行動力のある存在」として、恐怖とともに世間に認知されることになる。さらに、2012年の「大津いじめ事件」では、加害者側の個人情報の特定や関係先への電話攻撃などが問題化した。
良く言えば、法で裁ききれない悪を断ち切る“私刑”。だが実態は、ネット掲示板という構造が生み出した「集合知」と「数の暴力」であり、そこには常軌を逸した執念と乱心が同居していた。
その結果、「鬼女だけは敵に回してはいけない」という認識や、「警察より鬼女が動いたほうが早い」といった期待すら生まれていった。