■店内では歩く歩数も決まっている

 そんな頼もしい方針を支えているのが、科学的に検証されたオペレーションシステムだという。

「創業者の正垣泰彦氏が東京理科大学在学中に創業したサイゼリヤは、言うなれば理系の企業です。経費関係を見直したり、食材の仕入れ原価をできるだけ抑える取り組みはもちろん、店舗内のスタッフの動き方にまで効率を求めます。例えば、厨房では歩く歩数まで決まっているそうです」(前出の岩崎氏)

 オペレーションの徹底は、これだけではない。調理工場から各店舗へ料理を届けるセントラルキッチン方式を導入しているサイゼリヤの店舗には、包丁もフライヤー(揚げ物機)もない。そのため、調理技術がなくてもスタッフは料理を提供することができる。テーブル清掃は布巾を4往復。利益を生まない朝の開店準備を効率化するために、床掃除も掃除機ではなくあえてモップを使うという。掃除機の機能は、ゴミを床から掃除機に移動させること。ならば、コンセントを差し替える手間もなく、掃除機のヘッドよりも面積が広いモップを使えば時短になるという理論だ。

「どんなに環境が変わったとしても、お店で改善できる部分がまだあるのではないか。これが、サイゼリヤの思想です。国際情勢が不安定であらゆるコストが上昇する中でも、できる限り安い価格で商品を提供したいと考え続けている企業なのです」(前同)

 サイゼリヤの経営理念は「誰でも気軽に選んで楽しめる料理を提供したい」。その思いが、サイゼリヤの低価格を支え続けている。

岩崎剛幸(いわさきたけゆき)
流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。「情がトップコンサルタントへの近道」と語る。著書多数。