■『アンナチュラル』『MIU404』『ラストマイル』…新井ドラマに出てきた“黒幕”たち

 たとえば、「雇用主、権力者」「事件を知りすぎている人物」「最も信頼されていた人物による裏切り」「被害者を助けていながらも多くの秘密を抱えた人物」などだ。

 まず「雇用主、権力者」ならば、『アンナチュラル』の遺体搬送会社社長が、業者との癒着で死因を隠蔽した事件。『ラストマイル』では、組織ぐるみの隠蔽を手動した大手EC企業の経営幹部が挙げられる。次に、「事件を知りすぎている人物」では、『アンナチュラル』で解剖情報を悪用し、犯行に利用したUDIラボの内部関係者。『MIU404』で、捜査の穴を熟知した元当事者である、捜査関係者や協力者が当てはまる。

「最も信頼されていた人物による裏切り」では、『アンナチュラル』ではチームの身近な人物、『MIU404』では、相棒・同僚的立場の人間が犯行に関わっていた。「被害者を助けていながらも多くの秘密を抱えた人物」では、『最愛』の大庭(渡部篤郎)。梨央(吉高由里子)の義父であり、長年にわたって真緒を支え、家族として守り続けてきた人物だが、物語の核心にある過去の事件と深く関わっていたことが明かされた。

 では、第1話、第2話の段階で、この条件で浮かび上がるのは誰か。

 まず「雇用主、権力者」で挙がるのは、田鎖兄弟の父の雇用主である辛島貞夫(長江英和・67)と、真の上司で係長の小池俊太(岸谷五朗・61)、そして刑事課長の竹内恵美(赤間真理子・55)だ。田鎖兄弟の父は、違法行為に関与していた疑いがある。そうなると、辛島はその指示者である可能性もあり、「口封じ」で殺害、または殺害を誰かの指示した線も浮上する。次に小池だが、小池の場合、「最も信頼されていた人物による裏切り」「そして、被害者を助けていながらも多くの秘密を抱えた人物」にも当てはまる。

 現段階では小池も竹内刑事課長も、まだ深掘りされてないが、「牧村ひき逃げ事件」の顧問の存在のように、情報が後出しされて展開が二転三転するのは、新井作品に限らず、さまざまな刑事ドラマにも共通して発生する。それが本作でも起こり得ると仮定し、小池が田鎖兄弟の父殺害に関与していた場合、真の見張り役であったというサプライズも考えられる。