■高知県の古文書から次の大地震を予測!
貴乃花 「いつ起きてもおかしくない」と言われていますよね。
養老 地震学者の尾池和夫さんは、「2038年に南海トラフ地震が起きる」と予測しています。
高知県の古文書を使って、室津港の水深のデータや、港の隆起量の変化を見ると、一定のサイクルがあることが分かった。そのサイクル通りなら、次は2038年頃に起きるだろうと、尾池さんは予測している。
貴乃花 古文書からですか?
養老 室津港は何度も巨大地震が来ているから江戸時代の記録が残っているんです。地震が来ると、海面が変化し、漁港が浅くなっちゃって使えなくなったよ、と。だから、江戸時代に港を掘り直しているんですけど、それを記録した古文書が、2つ出てきて、それらを使って、次の地震が来るのを予測している。
貴乃花 それは、すごい。
養老 尾池さんほど、ピンポイントで予測を出しているのは珍しいんですよ。だから、ぼくも注目しているんです。もちろん、江戸時代のデータだから、そんなに正確に測ったわけじゃないので、粗を探せばキリがないですけどね。
貴乃花 みんな、知らないんじゃないですか?
養老 というより、そういう情報をシャットアウトしちゃって、考えなくなる。それが日本の特徴だと思いますね。
私の友人に、イギリス人のデービット・アトキンソン(菅義偉元首相のブレーンとしても知られる経営者)という人物がいるんですが、彼は、日本が医療や福祉、人口減少の問題を抱えていて、それに膨大なお金がかかることは明らかなのに、政府が何も手を打たないことを不思議がっていた。日本人は、将来のことを分かっていても何もやらない人たちだと感じたと、そう言っていました。
貴乃花 耳が痛いな。
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話題の尽きない“知の格闘”。次回に続く!
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。
養老孟司(ようろう・たけし)
1937年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学名誉教授。専攻は解剖学。2003年出版の『バカの壁』は460万部を超えるベストセラーに。