昨年から日本各地でクマ被害が相次いでいる。

「環境省の発表した『クマ類の出没情報について』2025年度速報によると、ツキノワグマの出没件数は全国で5万776件と、前年度の約2.5倍。今年も山形県ではクマに警戒し山菜取りを控える要請が行われるなど、全国的に注意喚起が続いています」(全国紙社会部記者)

 このようにクマ被害がメディアで頻繁に取り上げられているが、これはクマに限った話ではない。野生動物による被害はここ数年、深刻なものとなっている。

「サルやシカに畑や果樹園が荒らされる食害や、イノシシによる豚熱が養豚場に持ち込まれるなどの事例が後を絶ちません。中でも農作物被害額が最多なのはシカで、農林水産省の『野生鳥獣による農作物被害の推移(令和5年)』によると、2021年の約61億円から、2024年の3年間で約70億円と、被害が急速に進んでいることが分かります」(前同)

 なお、野生動物が増えすぎたことによる獣害は海外でも大きな問題になっているという。

 特定非営利活動法人「アフリック・アフリカ」の理事・岩井雪乃氏は、こう話す。

「動物との共生に苦労している国は少なくありません。その原因の一つは、過度な自然保護活動だと言えます」

 例えばタンザニアでは今、保護動物であるゾウによる農作物被害や人身被害が増えているのだという。

「野生動物を守る法整備を進めた結果、数が増えすぎたということ、また“野生動物は保護すべき存在”という概念から “殺すのはかわいそう”という風潮が広がったため駆除が進まないということが理由だと思われます」