■狩猟免許は2~3万円程度で取得可能
では、どうしたらハンターになれるのか。狩猟を始めるためには、まず「狩猟免許」を取る必要がある。猟法ごとに、第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな猟免許、網猟免許の4種類に分かれており、狩猟免許試験を受けなければならないのだが、免許の取得自体はそれほどハードルが高くないと、前出の岩井氏は言う。
「筆記の“知識試験”、実技の“技能試験”、そして視力や聴力を確認する『適性試験』を受ける必要があります。例えば、わな猟の技能試験では“箱わな”を自分でセットするといった内容です。合格率は7割ほどですから、対策をすれば免許取得は難しくありません」
知識試験は計30問の3択形式で、70%以上の正答率で合格。試験の内容は、狩猟できる動物や、猟具の取扱いに関する知識などが出題される。
素人には難しそうにも聞こえるが、各都道府県の猟友会が開催する「狩猟免許予備講習会」を任意で受講することができる。その講習会の受講料は1万5000円前後。さらに免許取得に1万円前後と、2~3万円程度で取得可能だ。
ただ、狩猟免許を取ったからといって、すぐに猟師の活動をすることはできない。あらかじめ狩猟を行う都道府県に登録し、所定の狩猟税を毎年納付するという手間もかかる。さらに“狩猟シーズン”は11~2月頃と冬の時期のみで、その中で野生動物との攻防を行わないといけない。
「何よりも、ハンターは命がけの仕事です。動物の命を奪うことですから、倒さなければ、自分がやられてしまうかもしれないという命と命のやり取りの緊張感を“価値のある仕事”だと感じられる人が向いていると思います」
AI全盛のこれからの時代に生き残る仕事かもしれないが、誰でもなれるものではない。それが猟師だ。最後に岩井氏は“狩猟を今の人に勧めたい理由”について語った。
「私も今年の春までは、大学生に授業を通して狩猟の魅力を伝えていた身。本来の生物としての“人間”を肌で学べるというかけがえのない経験ができると考えています。街の中で暮らしていると無意識に自然を支配できると思ってしまいますが、一歩自然の中に出ると、その思い通りにならないことに気がつくはずです。謙虚に自然に向き合い、知恵と技を尽くして獲物を捕獲する、それが狩猟の醍醐味です」
ハンターの仕事に少しでも魅力を感じるなら、一度挑戦してみるのもいいかもしれない。
岩井雪乃(いわい ゆきの)
人間・環境学博士。NPO法人アフリック・アフリカ理事。タンザニアでアフリカゾウ獣害問題(アフリカゾウによる農作物被害問題)の対策活動に取り組む。著書に『ぼくの村がゾウに襲われるわけ。』(合同出版)など。